【議決要旨全文】今、検察が熱い!!!!の巻【小沢一郎起訴すべき】

《議決要旨全文》東京第五検察審査会小沢一郎氏を起訴すべき」


 民主党の代表や幹事長を歴任してきた政界の実力者、小沢一郎氏を不起訴とした東京地検の処分について、東京第五検察審査会は4日、「起訴すべきである」とした議決の要旨を公表した。小沢氏の資金管理団体陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反について、小沢氏は、裁判所が指定する弁護士によって強制起訴されることとなる。公表されたのは10月4日だが、議決があったのは、民主党代表選で小沢氏が敗れた9月14日の当日だった。第五審査会の議決要旨は、小沢氏やその秘書の説明の内容や変遷を分析。土地購入代金の原資となった4億円の出所について「被疑者(小沢氏)が明らかにしようとしない」と断定し、「被疑者(小沢氏)に収支報告書虚偽記入にかかる動機があったことを示している」と指摘した。
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/articles/2010100400012.html?iref=chumoku

議決の要旨

審査申立人   (氏名) 甲

被疑者 (氏名)  小沢一郎こと 小 澤 ― 郎


不起訴処分をした検察官 東京地方検窯庁 検察官検事 木村匡良
議決書の作成を補助した審査補助員 弁 護 士 米澤敏雄

上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検平成22年検第1443号)につき,平成22年2月4日上記検察官がした不起訴処分(嫌疑不十分)の当否に関し,当検察審査会は,上記申立人の申立てにより審査を行い,検察官の意見も聴取した上次のとおり議決する。

議決の趣旨

本件不起訴処分は不当であり,起訴を相当とする。

議決の理由

第1 被疑事実の要旨
被疑者は,資金管理団体である陸山会の代表者であるが,真実は陸山会において平成16年10月に代金合計8億4264万円を支払い,東京都世田谷区深沢所在の土地2筆を取得したのに

1 陸山会会計責任者A(以下Aという。)及びその職務を補佐するB(以下Bといぅ。)と共謀の上、平成17年3月ころ,平成16年分の陸山会の収支報告書に,本件土地代金の支払いを支出として,本件土地を資産としてそれぞれ記載しないまま,総務大臣に提出した

2 A及びその職務を補佐するC(以下「C」という。)と共謀の上,平成1
8年3月ころ,平成17年分の陸山会の収支報告書に,本件土地代金分過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した旨,資産として本件土地を平成17年1月7日に取得した旨それぞれ虚偽の記入をした上総務大臣に提出した

ものである。

第2 検察審査会の判断
l 直接的証拠

(1)Bの平成16年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に報告・相談等した旨の供述

(2)Cの平成17年分の収支報告書を提出する前に,被疑者に説明し,被疑者の了承を得ている旨の供述

2 被疑者は,いずれの年の収支報告書においても,その提出前に確認することなく:担当者において収入も支出も全て真実ありのまま記載していると信じて,了承していた旨の供述をしているが,きわめて不合理で不自然で信用できない。

3 本件事案について,被疑者が否認していても以下の情況証拠が認められる。

(1)被疑者からの4億円を原資として本件土地を購入した事実を隠蔽するため,銀行への融資申込書や約束手形に被疑者自らが署名,押印をし,陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払つてまで銀行融資を受けている等の執拗な偽装工作をしている。

(2)土地代金を金額支払つているのに,本件土地の売主との間で不動薄引渡し完了確認書(平成16年10月29日完了)や平成17年度分の固定資産税を買主陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本基記を翌年にずらしている。

(3)上記の諸工作は,被疑者が多額の資金を有しておると周囲に疑われ,マスコミ等に騒がれないための手段と推測される。

(4)絶対権力者である被疑者に無断でA・B・Cらが本件のような資金の流れの隠蔽工作等をする必要も理由もない。

これらを総合すれば,被疑者とA・B・Cらとの共謀を認定することは可能である。

4 更に,共謀に関する諸判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を有する被疑者の地位とA・B・Cらの立場や上記の情況証拠を総合考慮すれば,被疑者に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能である。

5 政治資金規工法の趣旨・目的は,政治資金の流れを広く国民に公開し,その是非についての判断を国民に任せ,これによって民主政治の健全な発展に寄与することにある。

(1)「秘書に任せていた」と言えば,政治家本人の責任は問われなくて良いのか。
(2)近時,「政治とカネ」にまつわる政治不信が高まっている状況下にもあり,市民目線からは許し難い。

6 上記1ないし5のような直接的証拠と情況証拠があつて,被疑者の共謀共同正犯の成立が強く推認され,上記5の政治資金規政法の趣旨・目的・世情等に照らして,本件事案については被疑者を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべきである。これこそが善良な市民としての感覚である。

よって,上記趣旨のとおり議決する。

             東京第五検察審査会


刑事事件に関する法律問題だけでもかなりおもしろいことになっております。


犯罪者は検察官によって起訴され、公判廷で犯罪事実があったかを吟味して、裁判所がジャッジ(判決)をすることで有罪か無罪かの結論がでる。
これが刑事手続の基本的な流れ。


ここで問題となるのが今話題の検察官の暴走である。
検察官の暴走ってなんやねんって話ではございますが、ここで問題なのは2つある。

  1. 不当な不起訴
  2. 不当な起訴

である。
検察審査会での小沢を起訴すべきだって話は、言い換えれば検察官の「不起訴」が不当だって話。
他方、前田のやったような証拠を改ざんしてまで無実の人を起訴して有罪にしようとしたという話は、言い換えれば検察官の「起訴」が不当だって話。


刑事訴訟法の本には昔から指摘されてきたものだった。



いずれも起訴する権限が検察官の独占的権限とされていること(起訴独占主義)が原因ともいえる(もちろん、直ちに起訴独占主義がダメという話ではない)。


話を今回の事件に則していうと
今回、小沢が政治資金規正法違反の被疑者で、検察官の判断としては不起訴という判断に至った。
この判断が不当な場合、現在では検察審査会がそれをチェックする仕組みになっている。
つまり、検察審査会が検察官のした不起訴の判断は正しいものといえるかをチェックする。これにより、不当な不起訴処分を是正できるという建前になっている。
しかも、検察審査会裁判員制度裁判員と同様に一般の国民から選ばれる。つまり、利害関係を有しない公平な第三者の立場からチェックするという仕組みになっている。
この検察審査会の判断は、

  1. 不起訴相当
  2. 不起訴不当
  3. 起訴相当

の3種類あって、この順で今回の不起訴はおかしい!!!!ってレベルが上がっております。
つまり、不起訴相当は、「検察官の不起訴の判断は正しいんじゃね?」って判断。
次に、不起訴不当は、「もう1回ちゃんと捜査やってこい。話はそれからだ。」って判断。これは不起訴の結論を出すには早いぞって牽制する意味を持つ。
最後に、起訴相当は、「おまえの不起訴の判断は全然ダメ。むしろ起訴しろ」って判断。検察官の判断に真っ向からぶつかる結論。


ただ、不起訴不当や起訴相当は簡単には出ないような仕組みになっている。
検察審査会は一般の素人ですよ。検察官は法律家のプロなんですわ。検察官からしたら、そんな素人の結論に拘束されちゃたまんね、って思うだろうし、まぁ一理ある。
ただ、そんなエリート意識も過剰に行きすぎると、今回みたいな事件も発覚しちゃうわけで、しかも「氷山の一角」なんて実務家からは言われたりしてるわけで……
ということで、検察審査会は去年の5月施行の改正検察審査会法によって、2度目の審査で起訴相当という議決をしたら、検察官の意向を無視して強制的に起訴できる仕組みになった。
ただ、慎重を期して、不起訴不当と起訴相当の議決は、検察審査会のメンバー11人の過半数(6人)ではできず、8人以上の多数で議決することを要する。はい、来年ここ司法試験の択一で出ます。


ということで、小沢は1回目の検察審査会において全員一致で小沢氏を起訴すべきだとする「起訴相当」を議決が出されていた。そして、今回2度目の「起訴相当」が出された。
ちなみに、検察審査会の議決をしたメンバーは1回目と2回目では全く異なる国民で構成されている。それだけではなく、2回目の決議に当たっては、担当検察官の意見も聞くことになっており、強制起訴すべきかという問題もあるので、かなり慎重を期してなされているものと思われる。
というわけで、2度目の議決で起訴相当が出ちゃったので、小沢は政治資金規正法違反の罪で強制起訴されることになりますた。
資金管理団体である陸山会の代表者たる小沢が、陸山会が土地を購入したにもかかわらず、陸山会の収支報告書に虚偽の記載等をして、隠蔽したことが政治資金規正法に違反するって事件。
この事件をこれから検察官ではなく、弁護士が裁判所の指定を受けて、公訴提起、公判維持のための小沢の有罪立証をしていくことになる。
まだ3件くらいしか、検察審査会によって強制起訴になっていないらしく、どうなるか全然わからんけれど、ただでさえやっかいな政治絡みの事件なのに、こりゃ大変だ。


だけど、これで有罪になった場合、


「おいおい。特捜ってマジで何やってんの?」


って、話になってくる。
起訴したと思ったら無実の人を有罪にしようとしたり、有罪の人間でしかも政治家という影響力のある人間の悪行を見逃したり、そういう話になってくるからだ。


いや〜。これで小沢が有罪になったらえらいことになるな〜。ちょ、マジ検察何やってんの、仕事しろよwみたいな。


以上が、小沢の問題だが、村木無罪事件のような「不当な起訴」については検察審査会のような第三者の関与する仕組みは制度上ない。



あぁ、検察官になりて〜な〜。俺がちゃんとケツたたいてやりたいわ〜。


って俺にはムリか。


とりあえず、証人喚問か小沢。