(〃 ̄∇)ノ「強盗しよー!」←の親の責任は超重い?(後編)の巻

 
色柄のシャツが欲しかった中3の少年X。お金がほしくて、

(〃 ̄∇)ノ「強盗しよー!」←キテルネカナリ

そして、勤勉少年Aを殺し、Aからお金を強奪!!
 
 
昨日、書いたように、責任能力のない子(未成年)本人は不法行為の責任を負わない(民法712条)。そこで、この場合、監督義務がある親は、714条によって責任を負うのである。
 
ところが、少年Xは責任能力がある。この場合、法的には未成年者X本人が責任を負うことになる。そのため、子が責任を負わない場合の親の責任を負う規定である714条の適用はない。要するに、この場合は法律上、未成年者X本人が責任を負い、その親は責任を負わない。
 
しかし、これではとんでもなく被害者にとって不公平なことになる。
なぜなら、子どもが責任能力あるので、子ども本人に損害賠償請求が可能だよっていっても、お金もってないでしょ。つまり、法的に請求できるっていっても、ない袖は振れないのであった。1000万円の損害賠償請求を裁判所が認めても、3000円しかもってない人からは3000円が払ってもらえる限度なのである。
 
子どもからじゃなく、親から賠償額の回収をしたい。そこで、裏技が登場する。責任能力がある未成年者Xの親から、取れないはずの損害賠償を何とか取るのである。法律家の腕の見せ所である。
 
ここでは、法律が規定していない内容をなんとか条文を使って導くのである。そこで、でっちあげをするのである。709条をつかって。そういえば、709条については、ホリエモンの損害賠償で考えたことがあった。
2006-02-21 世の中、金で解決?の巻  
709条は、
1 わざと or 不注意で

2 他人の権利 or 利益を

3 侵害した者は

4 損害を賠償しないとダメ
 
って内容。親が子どもをそそのかしてXに強盗殺人をさせた場合といえるなら、この709条の責任を親が負う。この場合、上記1〜4を充たすから。
 
しかし、そんなことをしていない以上、難しい。1番難しいのは、親の行為と損害の発生に因果関係が必要ということ。つまり、おまえのせいでこん目にあったといえないとダメってことである。
 
そこで、親がちゃんとしつけをしていないから、少年Xが強盗殺人をやったんだ!っていう法律構成で親にもちゃんと損害賠償の責任を負ってもらおうというのである。
もっとも、厳密に言えば、「親がしつけをちゃんとしていない=強盗殺人する」とはいえない。だって、親がちゃんとしつけていなくても、普通は強盗殺人をする子には育たないし、多くの場合、そんなことしない。本当は、因果関係を認めるのが難しい。だから、でっちあげ。
 
判例は、被害者保護の見地からこのでっちあげを認めたのだ。
これで、勤勉少年Aの遺族は泣き寝入りしないですむのであった。
あぁ、よかった、よかった。