酒井法子主演の審理を見たが、あれは弁護過誤じゃないよね?の巻

裁判員制度PRのために作られたという「審理」を見た。時間は1時間程度。


もうすぐ覚せい剤取締法違反の初公判である、のりPが、裁判員やっていました。
見てるこっちがかなり複雑な心境になったので、当の本人はもっとでしょう。



ただ、これだけは言える。
あんな36歳のお母さんだったら、お、俺、



変になっちゃいます(爆)



んなことは置いといて、
まぁ、なんつーか、内容は
「ふ〜ん、まぁ、こんな感じだよねぇ」
って感じで、特におもしろいというわけではない。



事件内容は、殺人+銃刀法違反で、
被告人は正当防衛を主張
といった、ごくシンプルな内容。


争点は、正当防衛の要件である「急迫性」の有無。


事実の内容は、
新婚夫婦が映画を観に行った帰りの電車で、一見ヤンキー風の男(被害者)と肩がぶつかって、被告人が「じゃまなんだよ」と言った。
これにカッとなった男の方が、電車から降りた被告人夫婦を追いかけ、蹴る殴る野暴行をした。これを止めようとした、妊娠中の嫁も投げ飛ばされた。
そこで、被告人は男をナイフで刺した。
これは殺人罪だという検察側の主張。
これに対して、被告人の主張としては、妻やそのおなかの子を守るために仕方なくやったという理由から、正当防衛を主張。


そこで、被告人がナイフをさした際に、男(被害者)による暴行がすでに終了していたのか、それとも継続のおそれがあったのか、あるといえれば正当防衛の要件である「急迫性」の要件が認められる可能性がある。(ただ、これが認められても、防衛の程度が相当といえないので過剰防衛となる可能性が大きい)


弁護人は、殺意は認めると冒頭陳述で述べた。
が、個人的には誤想過剰防衛くらい主張できたんじゃなか?って思ったけど、どうなんだろう…
誤想過剰防衛とは、実際には正当防衛状況がないのにこれを誤信し、仮にこれが事実であったとしてもさらに過剰となるような防衛行為に出た場合をいう。勘違い防衛である。
勘違いで、急迫不正の侵害があると思って、正当防衛行為をしたが、その程度が過剰だったという場合である。
本件では、過剰の認識はあったと考えられるので、殺人罪故意犯)の成立は避けられないと思われるが、誤想過剰防衛として過剰防衛の規定が準用される余地はあったんじゃないかな、って思った。準用されれば、刑の減軽の余地がでてくる。


で、結局、こういう主張はしなかった弁護人だったわけだが…
まぁ、裁判員制度のPRなんだから、素人にわかりやすくって趣旨から「正当防衛」一本にしたってところなんだろう。


被害者の男の方から暴行を受けたという事情もあり、しかも妻子を守るために仕方なくやったという面もないわけではなかった。そこで、色々と裁判員は議論を尽くす。


で、結果は


有罪


正当防衛の成立を認めず。
懲役5年の実刑判決(求刑は懲役8年だった)。


まぁ、殺人罪が懲役5年以上だから、被告人の情状を有利に考慮したのは明らかだが。
ちなみに、誤想過剰防衛が認められ、過剰防衛が準用されたら、本件の場合、有期懲役が選択されてるから短期と長期を半分にされて、短期の懲役は2年6月となり、執行猶予も付く可能性があった。



ということで、めでたく裁判員裁判は終了。
まぁ、これ見ただけでも、裁判官の発言力の大きさは伝わってきた。
やっぱり、裁判員6人に対して、裁判官3人ってのは多くないかな?って思う。
まぁ、裁判官もかなり裁判員の意見を尊重するように努めるみたいなんで、始まったばっかだし、まだなんともいえないか。
今後どうなるかが楽しみだな。きっとヤバイ人も裁判員になることもあるだろうし。