択一対策用の情報公開法まとめ。の巻

第1章 総則


第1条(目的)
① 国民主権の理念にのっとり、
② 行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、
③ 行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、
④ もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、
⑤ 国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること
を目的とする。


第2条(定義)
1 「行政機関」(1項)
国会、裁判所は対象機関としていないが、内閣を除いて外務省、防衛庁国家公安委員会警察庁のように国家安全保障や公共の安全と関わる事務を所掌するものも含めて網羅しており、内閣から独立した会計検査院も対象機関に含まれている(2条1項)。

2 開示対象となる「行政文書」(2項)
① 行政機関の職員が
② 職務上、作成・取得した
③ 文書・図画、電磁的記であって、
④ 当該行政機関が保有している、
⑤ 組織共用文書(当該行政機関の職員が組織的に用いるもの)
→②から、行政機関の職員が、「取得」したものなら、行政文書に当たり得るので、国会の機関や、裁判所の機関が作成した文書でも、行政文書に該当する場合がある。

第2章 行政文書の開示


第3条(開示請求権)
1 開示請求権者
「何人も」→∴外国に在住する外国人も開示請求を行うことができる。
2 請求の相手方
「行政機関の長」(判断主体)
3 開示請求
「当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。」

 開示請求は、行政手続法にいう「申請」に該当するため、行政手続法2章の「申請に対する処分」の規定が適用される。したがって、行政庁は、審査基準を作成し公にしておく義務を負い(同法5条)、不開示決定をする場合には、理由提示の義務あり(同法8条)。


第4条(開示請求の手続)
1 手続
開示請求書を行政機関の長に提出して開示請求しなければならない。
←これにより、「行政機関の長」は、本条以下の応答義務等が発生。
2 開示請求書の記載事項
① 開示請求者の氏名・名称、住所・居所、法人等の団体にあっては代表者の氏名
② 開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項(行政文書の名称)
3 開示請求書に文書不特定等の形式的不備がある場合の措置
① 行政機関の長は、開示請求者に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる(裁量的措置)。
② この場合、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供する努力義務あり。


第5条(行政文書の開示義務)
1 原則:不開示情報が記録されている場合を除き、開示義務あり
(1)不開示情報
① 個人情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)
個人識別情報・個人識別ではないが、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの
② 法人等(地方公共団体含む)情報(個人の事業活動に関する情報含む)
  イ 当該法人等の権利・競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあるもの
  ロ 行政機関の要請を受けて、非公開にする約束をして提供されたもので、通例として公にしないこととされているもの、その他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの
③ 国の安全等に関する情報
国の安全が害されるおそれ、他国・国際機関との信頼関係が損なわれ、他国・国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると、行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報
④ 公共の安全等に関する情報
犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行等
⑤ 国や地方公共団体の機関等の審議、検討または協議に関する情報
率直な意見交換・意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ、又は特定の者に不当に利益を与え・不利益を及ぼすおそれがあるもの
⑥ 事務または事業に関する情報
適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等
  イ 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務
  ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務
  ハ 調査研究に係る事務
  ニ 人事管理に係る事務
  ホ 国・地方公共団体が経営する企業等に係る事業
2 例外:不開示情報でも開示義務がある場合
(1)①、②の例外
人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
(2)① 個人情報の例外
① 法令の規定・慣行として公にすることが予定されている情報
② 当該個人が公務員等である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
→開示義務あり


第6条(部分開示)
1 不開示情報部分の削除が容易な場合
① 原則:不開示情報部分を除いた部分につき開示しなければならない。
② 例外:当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、開示しなくてもよい。
2 個人識別情報が記録されている場合
個人識別情報部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該個人識別情報部分を除いた部分につき開示しなければならない。


第7条(公益上の理由による裁量的開示)
不開示情報が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示することができる。


第8条(行政文書の存否に関する情報)
開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる(グローマー拒否)。
ex.カルテを開示請求


第9条(開示請求に対する措置)
1 開示決定の書面による通知義務
2 非開示決定の書面による通知義務


第10条(開示決定等の期限)
1 原則:開示決定等の期限は、開示請求日から30日以内。
ただし、形式的不備の補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 例外① :開示請求日から60日以内。
① 事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、30日以内に限り延長できる。
② この場合、遅滞なく、延長後の期間及び延長の理由を書面により通知しなければならない。


第11条(開示決定等の期限の特例)
1 例外② 
① 開示請求に係る行政文書が著しく大量であるため、
② 開示請求があった日から60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、
③ 開示請求に係る行政文書のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの行政文書については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。
2 理由と残開示決定日の書面通知義務
この場合、開示請求日から30日以内に、「本条を適用する旨及びその理由」と「残りの行政文書について開示決定等をする期限」を書面により通知しなければならない。


第12条(事案の移送)
第12条の2(独立行政法人等への事案の移送)
 開示請求の対象になった行政文書が、他の行政機関等により作成されたものであるとき、その他他の行政機関の長等において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の行政機関の長等と協議の上、当該他の行政機関の長または独立行政法人等に事案を移送することができる(12条・12条の2)。


第13条(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
1 原則:第三者に対する意見書提出の機会の付与は裁量的
開示請求にかかる行政文書に第三者に関する情報が記録されているとき、第三者の意見書提出の機会付与は裁量的→∴第三者の意見聴取なく開示できる。
2 例外:第三者に対する意見書提出の機会の付与義務付けられる場合(当該第三者の所在が判明しない場合は不要)
① 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報として開示決定する場合
② 公益上特に必要があると認めるときに、裁量的開示決定する場合
3 意見書提出の機会の付与を受けた第三者が反対意見書を提出した場合
① なお開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。
② この場合、開示決定後直ちに、第三者に対し、開示決定をした旨・その理由、開示を実施する日を書面により通知しなければならない。


第14条(開示の実施)
1 開示実施の方法
① 行政文書の開示は、文書・図画については閲覧、写しの交付により行う。
② ただし、閲覧の方法による行政文書の開示にあっては、当該行政文書の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。
2 開示を受ける者は、当該開示決定をした行政機関の長に対し、その求める開示実施の方法を申し出なければならない。
3 開示実施の方法の申出の期間
① 原則:開示決定の通知があった日から30日以内にしなければならない。
② 例外:当該期間内に当該申出できない正当な理由があるときは、30日以内でなくてもよい。
③ 開示を受けた者が、最初に開示を受けた日から30日以内に、更に開示を受ける旨を申し出ることができる。この場合も申し出の期間は① ② による。


第15条(他の法令による開示の実施との調整)


第16条(手数料)
① 開示請求者、開示を受ける者は、開示請求に係る手数料を納めなければならない。
② 特別の理由があるとき、手数料の減額・免除が可能。


第17条(権限又は事務の委任が可能)


第3章 不服申立て


第18条(審査会への諮問)
① 原則:開示決定等について行政不服審査法による不服申立てがあったときは、情報公開・個人情報保護審査会に諮問義務あり。
② 例外:不服申立てが不適法であり、却下するとき、諮問義務なし。
③ 例外:不服申立てに係る開示決定等を取り消し又は変更し、当該不服申立てに係る行政文書の全部を開示することとするとき、反対意見書が提出されていない限り、諮問義務なし。
④ 不服申立てに対する裁決又は決定をすべき行政機関の長が会計検査院の長である場合にあっては、別に法律で定める審査会に諮問義務あり。


第19条(諮問をした旨の通知)
① 不服申立人及び参加人
② 開示請求者
③ 反対意見書を提出した第三者
に、諮問した旨の通知する義務あり。


第20条(第三者からの不服申立てを棄却する場合等における手続)
①  開示決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する裁決又は決定
②  不服申立てに係る開示決定等を変更し、当該開示決定等に係る行政文書を開示する旨の裁決又は決定(第三者である参加人が当該行政文書の開示に反対の意思を表示している場合に限る。)
をする場合には、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合、反対意見書を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。


第21条(訴訟の移送の特例)
1 情報公開訴訟:行訴法第12条第4項の規定により同項に規定する特定管轄裁判所に開示決定等の取消しを求める訴訟又は開示決定等に係る不服申立てに対する裁決若しくは決定の取消しを求める訴訟
2 裁量移送
情報公開訴訟が提起された場合においては、行訴法第12条第5項の規定にかかわらず、他の裁判所に同一又は同種若しくは類似の行政文書に係る開示決定等又はこれに係る不服申立てに対する裁決・決定に係る抗告訴訟が係属しているときは、当該特定管轄裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟を、当該他の裁判所又は同法第12条第1項から第3項までに定める裁判所に移送できる。
3 行政事件訴訟法第12条第4項の規定により同項に規定する特定管轄裁判所に開示決定等又はこれに係る不服申立てに対する裁決若しくは決定に係る抗告訴訟で情報公開訴訟以外のものが提起された場合も、同様に移送できる。

第4章 補則


第22条(行政文書の管理)
行政機関の長は、
① 情報公開法の適正かつ円滑な運用に資するため、行政文書を適正に管理するものとする。
② 行政文書の管理に関する定めを設けるとともに、行政文書を一般の閲覧に供しなければならない。


第23条(開示請求をしようとする者に対する情報の提供等)
行政機関の長は、当該行政機関が保有する行政文書の特定に資する情報の提供その他開示請求をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講じなければならず、総務大臣は、開示請求に関する総合的な案内書を整備する


第24条(施行の状況の公表)
① 総務大臣は、行政機関の長に対し、この法律の施行の状況について報告を求めることができる。
② 総務大臣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。


第25条(行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実)
政府は、その保有する情報の公開の総合的な推進を図るため、行政機関の保有する情報が適時に、かつ、適切な方法で国民に明らかにされるよう、行政機関の保有する情報の提供に関する施策の充実に努めるものとする。

第26条(地方公共団体の情報公開)
地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。


第27条(政令への委任)