だっつぁんからの依頼の巻①

だっつぁんから依頼があった。
「最近の裁判ぬるすぎではないか?」
とのご指摘でございます。


例えば、こんな裁判例があった。

兵庫県明石市の大蔵海岸の砂浜陥没死事故で、神戸地裁は7日、業務上過失致死罪に問われた当時の国と市の管理担当者ら4人全員を無罪とする判決を言い渡した。検察側は「以前から頻繁に陥没が起きていた。生命に危害が及ぶと容易に予測できたのに安全確保という最低限の責任を果たさなかった」として、全員に禁固一年を求刑。四被告は「陥没するとの予測は不可能だった」などと反論していた。


要するに、姫路の砂浜陥没事故で責任を問われた管理担当者が、無罪になったって話。
語るべきことがいっぱいある。が、ポイントは①制度上のお話と、②責任の性質、という2点が挙げられる。

①制度上のお話とは、すなわちこれが刑事事件だってことである。刑事事件ってのは、犯罪者を罰することを目的とした内容の事件。
上記の裁判は刑事事件である。
法律の世界ではかなり厳格なチェックのもと、犯罪者かどうかを判断する。
当然である。てけとーな裁判のもと犯罪者というレッテルを貼られ、刑務所送りにされたのではたまったもんではない。
そのため、かなり厳格に一つひとつの事実について、法律に照らして認定する判断を裁判官がしていくことになる。
今回の刑罰は業務上過失致死罪(刑法211条)である。つまり、不注意によって人を殺しちゃったって内容の罪。5年以下の懲役刑である。
今回の争点は、自己の現場を管理担当することについて不注意があったと認めてよいか?ということである。ここで、②責任の性質と絡んで問題となってくる。
普通の人だったら「当然不注意だろ!!」って思うでしょう。
しかし、法的に不注意であったといえるためには、今回のような事故を回避することが可能でなければならない。そもそも、不注意な点について予想できなければ誰もその不注意について対処できないからである。
今回のような場合、砂浜が陥没するということが予測できて、ちゃんと陥没しないよう安全な砂浜となるように管理できなければ、不注意とはいえないのである。
なぜなら、事故が発生するといったような予想ができないような場合にまで、事故の責任を負わすというのは結果責任となってしまうからである。すなわち、「不注意な点がないけどこんな事態が発生して人が死んじゃったから責任とってね」となって犯罪者というレッテルを貼られてはひとたまりもない。日本は法治国家である。北朝鮮とは違うのである。

だから、人の自由を奪う懲役刑という人権侵害は厳格に決定されるのである。これが刑事責任である。

まだ続きがあるのですが、また今度!