死刑制度に関する私見!の巻


うっちは死刑存置派かぁ。やっぱり被害者感情ってのを考慮したらそうなるよなぁ。


ただ、この問題って実は、刑罰制度をどう維持すべきかって政策問題なわけである。
つまり、国民が死刑制度を維持すべきだと思うかどうかの問題に帰着してしまうということ。


だから、死刑廃止すべきである!!とかいう「あるべき論」とは区別しなければならない。


で、やっぱり国民は死刑制度を維持を望んでいると思うので、今は死刑制度が必要だ!という結論に至るわけである。
だって、残酷な事件が最近多くて、やっぱり大多数の人は


「被害者のことを考えてみましたか?」


って言われると、犯罪者に対して情けなんかかけないものなのである。当然といえば当然の感情なのね。これって。


しかし、実は国民のほとんどが気づいていない事実がある。


それは、死刑制度が本来の死刑制度として機能していないということである


どういうことかというと、そもそも死刑制度の果たす機能がどのようなものかということと関連する。
つまり、こういうことである。


年間1200〜1300件ほどある殺人事件で死刑判決が5件〜10件ほど出されている*1


数ある殺人事件のうち死刑判決は1%にすら達していないということである。
これで果たして制度として成立しているのか?って疑問がでてもおかしくないわけである。


そんな有名無実の死刑制度。実は、死刑判決には隠れた機能が存在しているのである。


それは、一般予防効果である。一般予防というのは、「そんなことをしたらこんな罰を与えられてしまうのでやめておこう」ということから犯罪を未然に防止しようとする効果である。死刑においては、死刑という刑罰を犯人に加えることによって、社会の不特定人が犯罪に陥ることを予防しようというのである。
この一般予防効果が結構すごいのである。日本における死刑は。


例えば、現在の日本の場合、死刑判決が出たら必ずニュースになる。やっぱり死刑というのにみんな敏感なのである。
このような国民意識を反映してか、やっぱり死刑判決が出た週なんかは、犯罪の数が減っているというのが統計上明らかなのである。
このような効果は、有名無実の死刑制度だからこそ発揮できるのだなぁって思うの。
反対に、中国やアメリカみたいに死刑をバンバンやってたら、死刑の威厳は絶対薄れていくのだと思うの*2。人はどんな世の中でも慣れる生き物である。やっぱり、死刑がバンバンやられる国にいたら、やっぱり死刑に対する恐怖は麻痺していくものである。
ここが、死刑存置国であっても、他国と日本が違うとこなのである。



だから、あたくしはこう思うのであります。


「日本ってすごいバランス感覚なのかも!?」


だって、日本の死刑制度は、その名ばかりで実質はないに等しいわけである。すなわち、死刑廃止国に最も近い死刑存置国とも言えるのだ。
しかし、死刑廃止国における死刑なんて、ものすごく強力な威嚇力がある。むしろ、一般予防という点でいえば最大限の効果を発揮しているといってもいいのではないか?そう思うわけである。


だから、あたくしは最近までこんな日本における死刑制度を高く高く評価していたりしたのだ。



たしかに、死刑というのは国家が人の命を奪う行為を認めるということを意味する。そして、それは本当に怖いことなのである。なぜなら、「国民が正当とする人殺し」を認めたことになるからである。道を誤ると、これほど怖いことはない。
それはナチスと同じになりかねないからである。
ナチスユダヤ人をたくさんたくさん殺したわけであるが、それはすべて法の名の下、すなわち国民の支持を得てやった非道なのである。ドイツ人はドイツ人の血を汚すユダヤ人を殺すことが「正当」とされた。そんなこと絶対起きないよ。とか思ってたら大きな間違いなのである。事実としてそんな社会が存在したのである。そして、今も中国は「民族浄化」という大義名分で、中国国家として合法的にチベットの民を虐殺しているのである。いや、虐殺だけでない点でもっとやっかいなのかもしれない。
「殺人の合法化」というのは危険が内在している事実を忘れてはならないのである。


ただ、どこの国よりもそういうことには敏感な国ジャパンだったりする。首相の靖国参拝だけで、「戦時中の日本に逆戻りだー!!!!」と騒ぐ人たちがいっぱいいっぱいの日本。首相が「戦没者に今の平和を感謝しただけ」ということなんてこともまったく無視である。そんなへんなとこに危機感が敏感な人たちがたくさんいる国。そう簡単に、中国やナチスみたいなことになりそうにない。まぁ、人権感覚がまったくことなる中国とは比較にはならないかもしれないが。とにかく、なんだかんだいって日本は人権を重視する国だと思うのである。
そういう点で、日本の死刑制度はなかなか日本らしく機能していたのかなぁと思ってたのだ。



ところが、困った事態起こってきた。


外国人の犯罪である。


中国で犯罪を起こしたら、内容にもよるが、なんだかんだいってやっぱり世界的に見ても刑罰が厳しい。死刑なんて乱発である!なんせ売春で死刑判決がでたりするのであるから。しかも、いまだに公開処刑実施中である。この点で、アメリカと異なる。たしかに、アメリカも州によるが関係者に限定した公開処刑は認められている。しかし、これは被害者感情を酌んだものであり、祝い事があると死刑を出すような国とは違うのである。
こんな国に住んでいる外国人。


外人X「初犯ならだいたい執行猶予がでるんだろ?死刑なんてほとんどないんだろ?最高な国だな!!何やってもOKじゃねーか!!!!」


そんな感覚になるのも無理はない。さっきも言ったけど、慣れるのである。人間の「感覚」というものは。死刑判決いっぱいの国は死刑があたりまえで、それが通常。犯罪者が死刑になっても何も驚くようなことではない。「え?死刑判決?あっ、そう。」で済ますことができちゃうのだ。

そんな方が、日本に来ちゃったら、やっぱり日本で凶悪犯罪と思うようなことも、彼らにとってはそれほど凶悪犯罪にならないので、外国人犯罪は残酷だっていうのも無理はないのである。「感覚」が違うのである。
これでは、さっきいったような「死刑の抑止力」という効果は外国人犯罪には通用しないのである。


そこで、厳罰化である。
刑法を改正して量刑や時効を重くした。


でも、やっぱりお隣中国なんかとくらべたら、「屁」みたいな改正でしかない。とても外国人犯罪に通用するようなものではない。


こんな外国人犯罪が結構深刻な国、にっぽん。実は、ドイツでもまったく同じことが10年前から起きてたのだ。
というのも、ヨーロッパ共同体ゆえの問題でもある。すなわち、異国の人がいっぱい移動するところなのである。そのため、ドイツでは外国人犯罪は日本よりも多いのは、むしろ必然ともいえる。また、この問題と相まって外国人労働者の排斥も主張されるようになり、ナチスの思想が再来することになる。ネオナチである。


そこでドイツでは、不能犯の近いような事件でもバンバン有罪にするようになった。とかいう話は、そもそも不能犯とか未遂犯の話が必要なんで今日はここまで!


あと、冤罪について思うところがあるのですがそれもまたいつか!!

*1:1999年くらいに調べたのでちょっと古い。

*2:ただ、アメリカの殺人件数は日本とは比べ物にならないので、厳罰化になるのもそれなりに仕方ない面もある。なお、アメリカの殺人件数は少なくとも18000件とされている。日本の9倍である