適用違憲の処理の仕方と違憲審査基準の関係はこうなってるということをちゃんと基本書に書いてほしい。の巻

というわけで、今日も昼寝坊さんのにーやんです。


適用違憲の処理の仕方について、いろいろ考えてたら朝を迎えてた。



何やってんだ俺は…


で、限界を感じたので、あの偉い人に昨日作った答案構成を転付してメールしてみた。さっさとメールしときゃよかった。


さっそく返信メールきますた。
さすが元○査委員のゴッド。俺の疑問に対して、一寸の隙もない明快な回答。


第1類型、第2類型の処理の仕方はあんな感じでいいようだ。

■ 適用違憲の処理の仕方と違憲審査基準の関係

● 第1類型 法令につき合憲限定解釈を行うことなく合憲とするケース
*法令につき合憲限定解釈の余地はないことを前提に法令違憲とする場合でも、「しかし、仮に法令違憲でないとしても」と検討を続ける
■ 処理方法
この法令には合憲限定解釈をする余地がないが、Xの行為にこの法令が適用されている。この適用が違憲適用違憲の第1類型)←この判断にあたり違憲審査基準を用いる
▲ 論証パターン
 立法目的は○○である。とすれば、その手段である△△という規制対象に、Xの行った〜〜という行為をも含むとすれば、〜〜という立法事実に照らして、目的達成のための必要最小限度の手段といえない。
 この点、××条の文言は「〜〜」としており限定解釈の余地がないこと、○○条は「××」としており、すべての行為を規制対象としていることからすると、本条の規制の対象にXの行った〜〜という行為を本条の規制対象から除外する合憲限定解釈をする余地はない。
 よって、合憲限定解釈不可能ゆえ、適用上違憲適用違憲の第1類型)。


● 第2類型 法令につき合憲限定解釈を加えて合憲とするケース←その際、違憲審査基準を用いることもあることに注意!
*法令につき合憲限定解釈を加えても違憲であるとする場合でも、「しかし、仮に合憲限定解釈を加えて法令が合憲となるとしても」と検討を続ける)
■ 処理方法
この法令は合憲限定解釈を加えるべきであるのに、合憲限定解釈をせずこの法令をXの行為に適用することは違憲適用違憲の第2類型)
この判断にあたり違憲審査基準を用いない点に注意!(違憲審査基準を、用いるとすれば法令違憲の検討の際)
▲ 論証パターン
 ○○という目的のために、〜〜という行為をも規制対象に含めるとするのは、〜〜という立法事実に照らして、目的と手段に実質的関連性があるとはいえない。
 もっとも、本法の趣旨目的に照らすと、規制対象である「〜〜」という○○条の文言は、〜〜という行為を除外した△△という行為のみを対象としていると解することができる。
 よって、合憲限定解釈をすることは可能。(ここで、「Xの行った〜〜という行為は規制対象から除外する解釈をすることは不可能」となると、適用違憲第1類型)。
 これを本件についてみると、Xの〜〜という行為は、△△という行為にはあたらない。
 よって、合憲限定解釈によって規制対象となる△△に当たらないXの〜〜という行為に本法の規定を解釈適用した点で、適用上、違憲である(適用違憲第2類型)。


● 第3類型 法令につき合憲限定解釈を行うことなく合憲とするケース
*法令につき合憲限定解釈の余地はないことを前提に法令違憲とする場合でも、「しかし、仮に法令違憲でないとしても」と検討を続ける
■ 処理方法
この法令を正しく解釈すればXの行為は禁止の範囲に入らない。にもかかわらず、誤って法令を適用しXの行為を規制するのは違法であるばかりか、違憲適用違憲の第3類型)
*直接的には「法令解釈の問題」なので違憲審査基準は用いない点に注意!
▲ 論証パターン
 本条を正しく解釈すれば、Xの〜〜という行為は、本条の規制対象である「〜〜」の文言に当たらない。にもかかわらず、本件では本条の規制対象外であるXの〜〜という表現行為に対して、本条を解釈適用している。
 よって、誤った法令を適用してXの行為を規制しており違法であるばかりか、憲法21条で保護された権利を侵害する国家行為であり、適用上、違憲である(適用違憲第3類型)。

ただ、採点実感からすると、第3類型はあまり使わない方がいいな。
使うとしても、法令の解釈はあっさり処理した方がよいとのことだし。
憲法の争点(野坂先生)によると、本来適用違憲として捉えるのにふさわしいのは第1類型らしいし、結局、まずは合憲限定解釈の余地を探ることから開始すべきってことかな。


弁護人主張の場合、可能な限り厳格審査基準主張して、
違憲審査基準が厳格だと、必然的に合憲的に適用できる範囲も狭くなるので、法令の文言からそのような狭い解釈が難しいという傾向になる結果、
「この条文の「○○」って文言からこんな限定解釈を加えることなんてできね」
ってなったら、合憲限定解釈不可能ゆえ、これをXの〜〜という行為に適用してる点で適用上、違憲
反論では、緩やかな基準の主張をして、その結果、合憲的に適用できる範囲は広がるから、
「この条文の「○○」って文言からすると、その対象は(合憲的に規制しうる)××と限定解釈できるし、Xの行為は××に当たるから、適用上、違憲じゃねー」
となって、私見では、
「いやいや、その基準は緩すぎ。もっとも、目的達成の手段として〜〜を対象とすることは、立法事実に照らして実質的関連性あり。そして、「○○」という文言からすると、合憲的に規制しうる△△を対象としているという限定解釈は可能。だがしかし、Xの行為は△△に当たらない。よって、適用上、違憲。」
って流れがいいかな?