死刑存置論者と護憲論者の共通点

法務省、死刑制度の省内勉強会を開催
2010/8/6 10:29

 法務省は6日、同省幹部らで構成する「死刑の在り方についての勉強会」を立ち上げ、第1回の会議を開いた。死刑制度の運用実態や諸外国の状況などを分析、論点整理し、制度そのものの存廃を含めて検討する。近く人権団体や被害者団体、専門家らへのヒアリングも始める予定だ。

 千葉景子法相は勉強会の冒頭、「死刑は人の命を絶つ極めて重大な刑。国民の意見に十分耳を傾けつつ、冷静に議論を進めてもらいたい」とあいさつ。裁判員制度の導入にも触れ「裁判員のみなさんが(死刑を)判断する重い責務を課される中、より広い国民的議論の契機にしたい」などと述べた。

 勉強会は同法相が先月28日に2人の死刑執行に立ち会った後、設置を決定。メンバーは同省幹部や担当部局などで構成し、制度の存廃のほか、確定死刑囚への告知方法といった執行のあり方、制度を巡る情報公開などをテーマに議論を進める。議論の取りまとめまでの期限は特に設けないという。専門家や関係団体に意見を聴くほか、制度に対する国民の意識の調査なども行う方針。

 勉強会での議論の詳細は原則的に非公開だが、外部の識者らへのヒアリングではやり取りを公開する見込み。

 死刑制度に関する省内勉強会は、2007年に当時の鳩山邦夫法相が設置して以来。07年の勉強会は、刑を執行された死刑囚の氏名公表などにつながった。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E2E4E2E2988DE2E4E2EAE0E2E3E29180E2E2E2E2;at=ALL

すげえな、千葉景子死刑廃止論者である己の死刑執行をきっかけに具体的に死刑に関する議論が動き出しているではないか。タダでは死刑執行のサインはしないってか?


個人的には、今現在、死刑制度を廃止すべきとは思わない。が、おいおい死刑廃止ができるような日本になればいいとは思う。これは両立する考え(まぁ死刑廃止は100年先でもムリかもしれないけど)。
もっとも、死刑の次に重い刑が無期懲役という現行の刑罰制度はかなり問題がある。死刑と無期懲役との差が大きすぎるから。
無期懲役という刑罰が「死ぬまで刑務所」とか勘違いしている人も多いけれど、無期懲役はその名の通り懲役刑の期間に期限がないだけで、死ぬまで懲役刑に処するといったものではない。その結果、実務の運営では、20〜30年の刑期で受刑者は仮釈放されている。実質、日本における無期懲役とは懲役20〜30年ってことになる。
http://www.geocities.jp/y_20_06/parole-parole.html


死刑と懲役30年の差ってでかくね?


だから、その間に、終身刑を定めて、仮釈放ありとなしの2種類を量刑で選択できるくらいの幅があってもいいんじゃねーかと思う。実際、アメリカのどっかの州ではこんな感じの終身刑があるらしいし。
その上で、死刑という刑罰が今は必要だという国民的世論を形成していくような議論をしてほしいところ。


まぁ裏腹に、千葉景子がこんなことをすると、死刑存置論者は
死刑廃止論者による謀略だ〜」
とか言って、議論自体に懐疑的になる人がいる。


これって、憲法改正の議論をしようってときに、
憲法9条を改正して戦争を始める気だ〜」
と騒ぐ護憲論者と構造が似ている。


いずれも、「議論自体を忌避する」という点で。


しかし、お互いおかしなことを言っている。
自分の意見が正しければ、国民もそれを正しいというはずで、それならば、むしろ積極的に議論した上で、すっきり結論を出せばいいではないか。それが民主主義だろ。


千葉景子死刑廃止論者であっても、だからといって議論自体を否定するのはファシズムと同じだ。そこに自由はなく、民主主義もない。
むしろ、積極的に議論して、民主的プロセスの過程で、死刑存置論者は死刑廃止論者をギタンギタンにして「死刑存置」の結論を出してやればいいじゃないか。それが言論ってやつではないか。


護憲論者も憲法9条を本当に守りたかったら、自分勝手な妄想を振り回すんじゃなくて、むしろ改正手続をして、国民に信を問うべきで、その結果
国民投票の結果、憲法9条は維持することになった」
という結論を求めればいいじゃないか。
国民投票の結果、憲法9条が改正されるという結果を恐れて改正手続にすら賛成しないようじゃ、それは単なる自己中に過ぎない。憲法9条を国民が維持すべきと思っていると考えるならば、積極的に憲法改正案を国民に突き付けてやれば、これ以上にない国民の意思表示が得られるのだから。



俺的には、千葉景子のこの暴走じみた行動を逆手にとって、
「凶悪犯罪が増加傾向の今の日本で死刑廃止とか何眠たいことほざいてらっしゃるんですか(笑)」
とか言われてフィニッシュしてほしいところなんだけれど、ぶっちゃけ野党もたいしたことないからな〜。あの党を除いては……


■資料:死刑の在り方についての勉強会
http://www.moj.go.jp/content/000051976.pdf