「法律上の争訟」とじゃんけんと地方ルール。の巻

「法律上の争訟」といえるには
① 当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であること
② ①が法令の適用により終局的に解決することができるものであること
が要件として必要になる。


これを民訴的に引き直すと
① 訴訟物が当事者間の具体的な権利義務または法律関係であること
② 訴訟物についての攻撃防御方法が法令の適用に適するものであること
が「法律上の争訟」といえるためには必要だということを意味する。


例えば、じゃんけんに勝ったことを確認する訴えなんていうのは①から認められない。
じゃあ、訴訟物は贈与契約に基づく車の引渡請求権とする場合。
これなら、①はパスする。
けれど、それが、じゃんけんに勝ったら車をあげるという約束をしてじゃんけんに俺は勝った!なんて理由なら?
微妙……
法律上の争訟に当たるといえても、心裡留保で無効になりそうだが、そうすると本案判決になる。
しかし、そもそもじゃんけんに勝ったかどうかは法令の適用によって判断できるもんじゃない。
被告が
被告「原告は後出ししたから無効だ!仮に後出しでないとしても、グーチョッパーを出したから無効だ。」
とかわけわかめの予備的主張をしだしたとすると、もうどうすんだこれって感じになる。
確かに、法律的にいうと、停止条件つきの贈与契約が成立したことを前提に条件が成就したかどうかが争点といえそうだ。
しかも、
原告「後出ししたという被告の主張を断固否認する。グーチョッパーは1回できるという地方ルールが存在する。ちなみに、『じゃんけん』ではなく『いんじゃん』というべきである」
なんて反論されると、実質的な争点はグーチョッパーが許されるかということになりそうだ。



裁判所「ェ……」


って感じになること間違いない。
判例も、宗教上の地位を有することを前提にして、宗教法人の所有する土地の明渡請求権を訴訟物にした場合、要件①はパスするけれど、攻撃防御方法において宗教上の地位の存否を判断する必要があって、その判断の内容が宗教上の狭義の解釈にわたる場合には裁判所の審判権が否定されるとしている。要するに、要件②をパスしないことになるから、法律上の争訟に当たらない(よって審判権なし)ってこと。


まぁ試験には出そうにないけど、基本中の基本だからメモ。