【司法試験】これは落ちる。やってはいけない択一勉強法。の巻【失敗談】

まいど〜。


風邪も治って、病み上がりの状態でUSJを満喫し、また体調壊しそうなにーやんです。

■今回の記事の趣旨

今年、司法試験受けて、まだ合格通知待ちなんですが、択一は通過した(上位18%)ということで、今日は、小生の択一に関する合格体験記的なものを書こうかなと思います。


ですが、小生は択一が大の苦手さんのヴェテですから、上から目線で「これをやれ」とか「あれをやれ」とか偉そうにいえる立場にはございません。
何より、まだ論文に合格していない自分が、そんなことを偉そうに言える立場にもないことは重々承知してるつもりでございます。


そこで、今日はヴェテ的な自分の体験から、いかにヴェテ化を回避するのか?ということを自分の経験から考えてみようと思っております。
ヴェテの小生が実際に経験した「これは失敗だった」という失敗談を中心に択一の勉強方法を考察しようというわけです。


これは、合格体験記などで勉強方法が色々書かれていたりするけれど、逆に不合格体験記はないため、どこで失敗するのかが体験者以外予め把握しにくいことから、有用な情報になるかもしれないと考えたからです。


にーやんは本当に択一が苦手なんです。
平成20年度に1回目の司法試験を受けてなんと択一落ち。うちのロースクールで、しかも既修では、自分以外に身近な人の中で択一落ちは見当たりません。しかも、その成績も210点すらなかったということで、上位85%以下の成績でした(正確な点数を確認したかったけど通知書がどっかいってます)。こりゃ笑うしかない。はっはっはっ。
それくらい苦手なんです。

H20に受験1回目上位85%以下で択一落ち
  ↓
H21に受験2回目223点で上位61%の成績で択一合格
  ↓
H22は受け控えして、H23に受験3回目253点で上位18%で択一合格

こんな風に択一が超苦手な自分でも時間とともにだんだん上がっていきました。
これは正しい択一対策をすればどんなアホでも確実に成績が上がるということです。
要するに、失敗の原因は正しい試験対策が遅れたことにあります。
誤った勉強法をいくら頑張ってもなかなか成績は良くならないなのです。


言い換えれば、正しい勉強法で努力すれば、どんなアホでも点数が良くなるというわけです。これは択一だけじゃなく論文もそうですね。
しかし、この①正しい勉強法と、②努力の2つのうち1つでも欠けるとヴェテになります。ですから、努力してもなかなか成績が良くならないという人は勉強法が誤っている可能性があります。
誤った勉強法をしていることに気がつかないままだと、小生のようなヴェテが生成されていきます。間違ってるのに自分が正しいと勘違いすることほど危険なことはないのです。恐いことです。


そこで以下では、誤った勉強法の内実について詳しく検討し、どうやってヴェテが生成されるのか考察してみましょう。

■暗記不要の意味をはき違えた失敗――暗記の重要性

小生は京都のとあるロースクールに通っておりました。
入学当初より先生たちは口々に「暗記ばかりじゃダメ……」、「予備校が云々……」といい、考える力というものをかなり重視する発言ばかりでした。


「暗記ばかりじゃダメ」


この言葉の意味を自分は勝手に都合のいい解釈をしてたことに後々気づきました。
何回も言いますが小生は暗記が超苦手なんですね。
どれくらい苦手って、中2の頃に50点満点の地理のテストで2点とるくらい苦手なんですね。はい、生きててごめんなさい。


そんな小生にとって、「暗記ダメ」→「考える力が必要」という構図は都合がよかったんです。

にーやん「意識して暗記なんてしなくても、ちゃんと基本書とか読みこなせるようになれば大丈夫ってことか」

これです。これが都合のいい大間違いの認識だったのです。
「暗記じゃダメ」という意味を適切に理解しなければなりません。
それは、「暗記はダメ」という意味ではなく、

基本事項に関して暗記は必須だけれども、それだけじゃダメ

ということなんです。
これは当然のことで、今となっては内田民法Ⅰのはじめにも書かれてあることですね。


第1の「基本事項に関して暗記は必須」という事実を理解していなかったというのは大きな問題です。
これは過去問の演習不足が原因だったかなと分析してます。
過去問を通して何を最優先で身につけるべき能力かは明らかになりますよね?
なのに自分はロースクール以外の勉強はほとんどしてませんでした。これはロースクールの教員達の「予備校のような受験対策はダメ」という発言をまたもや曲解したためです。受験対策はダメじゃなく、むしろ勉強開始の前提とすべきものだと思います。
そもそも、ロースクール制度があって、その卒業者が受けるのが司法試験であることを考えれば、試験で問われることが法曹になるのに最も重要度の高いことに決まってるわけです。
だから、司法試験対策こそ法曹になるための必須能力の醸成に最も有効だともいえます。したがって、「試験対策は悪」という考えはミスリードでしょう。もちろん、「対策」のやり方次第では諸刃の剣にもなりますが、その話は機会があればいつかしましょう。


少々脱線しましたが

試験で出る問題=ロースクールでの勉強が成功したかの確認

これを理解していれば、試験対策が最もロースクールでの勉強に役立つことは容易に理解できることでしょう。
そして、その試験内容を見れば「基本事項に関して暗記は必須」ということは明らかでしょう。つまり、ロースクールでも基本事項を覚えることは要求されているということです。はい、これ当たり前のことでした。
そして、これは択一試験だけじゃなく、論文試験でも共通でしょう。
択一に関して言えば、基本事項、つまりよく使われる重要な条文や基本判例の知識を暗記していれば解ける問題がかなり多いのは周知の事実ですね。
ただ、択一に関しては少々細かい部分まで把握する必要はあります。
しかし、それも基本的な「意義」「趣旨」だけでも把握しておけば、後は法的推論(法的に考えて推論すること)を駆使すれば正解率は上昇します。この推論をするには基本事項を理解することが前提になります。
したがって、「暗記」だけじゃなく「理解」も必要なのは当たり前だったんですね。


こういった当たり前のことを第1回目の受験後に知りました。はい、遅いです。
例えば、背信的悪意者や、信頼関係破壊の法理、不法領得の意思などなど、みんな知ってて当然の単語ですよね。
択一に落ちるレベルの人には、これらの基本単語の中身、つまり意義、趣旨、要件・効果などを「正確に」暗記・理解していなかったりするんですね。なんとなく「ああ、あれだね〜」って感じで、理解が中途半端な感じのまま終始しちゃってたりするんですよ。



敷衍して数値化すると、択一合格レベルだと暗記・理解度70〜90%のような基本的な事項が、択一不合格者の場合は40〜60%だったりするんですよ。
みんなは同じようにわかっているつもり。でも、その暗記・理解度には差がある。そんな状況です。
この差が択一通過者と択一落ちの間で、正答率が異なる原因です。
よく「ひっかけ」問題とかありますよね?そういうのにひっかかってしまうのはこの暗記・理解度が低いのが原因だったりします。
中途半端な理解は有害以外のなにものでもないんですね。
中途半端な理解は有害ですよ。2回言いました。重要ですこれ。


例えば、危険負担の問題で、民法で定めている債権者主義が妥当する範囲について暗記していれば、行為債務(例えば出演契約)についてどちらが適用される場面かといった問題で悩むことはないでしょう。
仮に悩んだとしても、例外的に債権者主義が採用された制度趣旨を理解していれば、正解にはたどり着けます。


こういうのは、問題解いて解説読めばわかりますが、ここで言いたいのは問題の肢の知識の暗記が重要というわけじゃなく、そこで問題とされた条文の内容、要件・効果からどう処理されるのかという能力です。


肢別本ってありますよね?あの肢自体は練習のとっかかりに過ぎなくて、暗記・理解すべきはその小前提の肢と答えじゃなく、大前提となる法制度の内容の暗記・理解とともに、処理の仕方を練習するものなんですね。
だから、ただ問題と答えを暗記しても汎用性は乏しいものになり、肢別本をいくら繰り返して知識を増やしても、労多くして功少なしの事態になりかねません。自分がそうだったんで。要はやり方の問題なんです。
これは友達に勉強法を教えてもらって気づいたことなんですけどね。


それと自分の失敗点は、問題を解く作業が不足したため、法的三段論法のあてはめ処理が不正確、不適切なまま、わからない問題だと「なんとなく」解いていたこと。で、たいていは外れる。「なんとなく」で選んだくらいで正解するなら楽なもんである。


「問題に対する姿勢に適当な性格が表れている!!」


勉強を教えてくれた友人はよくこう言って小生を叱ってくれていました。
択一での勝負どころは、知らない知識が問われる場面です。そこで、知識や理解したことを応用していかに正答率を上げるかということが重要になってきます。
もちろん、知っている知識で対応できるにこしたことはありません。しかし、小生のように持っている知識が乏しい人が正解にたどりつくには、そういった自分の持っているものをすべて使ってくらいつくしかありません。
そういう問題に対する姿勢自体が欠けていたというのが失敗でした。そして、この問題対応能力は問題を解くことで養われていくものということを看過してしまっていました。
これが「基本事項に関して暗記は必須だけれども、それだけじゃダメ」という意味なんですね。得た知識を使って問題を処理できるようにする能力を養えと。そういう発想が当時なかったんですね。「基本書を読めば点が上がるだろ」みたいな。浅はかだったんですね。


とにかく、最低限必要な基本事項の暗記は必須事項だということと、試験対策として問題演習は絶対にやらなければならないという当たり前のことを軽視していたのが最大の失敗だったと思います。



ロースクール時代における失敗

ロースクールの勉強内容はそのほとんどが自分にとってついて行くのがやっとって感じで大変でした。
そのため、学校の予習だけで「ひぃいい!!!!」とか奇声を発する始末のにーやんでした。
授業の際に当てられて「わかりません、ごめんなさい」なんて言うのも恥ずかしいから、予習はかなり頑張ってしまった感はあります。あたくし、辱めるのはあれですが、辱められるのは嫌なんですね。はい、この性格には色々問題あります。



振り返って考えると、このロースクール生活には色々問題がございます。
授業の予習に勉強時間の大半を使ってしまったというのが最大の失敗だったと痛感しました。
予習は大事ですよ。でも、行き過ぎはよくないんですよ。
その授業の何倍もの時間を使って色々調べたりして予習し続けるなんて愚行以外のなにものでもないってわけです。
予習事項の中に基本書に直接載っていないこととかもあるじゃないですか?そういうのって現場思考で十分だと思います。優秀な友達はそうして自分の勉強時間を作っていました。


もう少し極端に言うと、ロースクール生活は

予習⇒授業

というのを繰り返していた感じなんです。これには2つの失敗が含まれているわけです。
1つ目は予習に時間をかけすぎて、試験対策の優先すべき勉強時間を確保できなかったということ。
2つ目は、「復習」をしなかったことです。授業が終わったら、「やっと今日もなんとか乗り越えたわ」という変な満足感に浸って、もはや「過去のもの」と扱い授業後は怠惰な休憩をとっていたこと。


偉い学者さんが言ってましたが、法律学は復習の学問らしいです。
偉い学者様の崇高な教えを頂戴したら、それをとっかかりにして復習して知識を自分のものにしなければなりません。
知識を自分のものにするという意味は、得た知識を使いこなせるようになるということです。知識を使いこなすとは、具体的場合に知識を応用して問題を処理できるようになるということです。
そのため、基本書を読んで理解したつもりになったまま放置してしまうと、いざ問題を解こうとしても解けなかったりします。
すなわち、「わかったつもり」になるのが1番危険なことです。
ちゃんと復習や質問といった手段で正確な知識を自分のものにしなければ何回も同じことを繰り返すハメになります。暗記苦手で勉強嫌いなにーやんはこういうことをしてヴェテ化していきました。はっきり言ってむいてませんね。ごめんなさい。


できる人は先生に質問しに行ってました。しかも、基本書読めばわかるだろって感じのしょうもない質問じゃなく、するどい質問です。
そういう質問も、問題を解いたりする中で基本書で得た知識を使いこなせるようにするために自然と出てくるもんじゃないかなと思います。


以上の反省点から、ロースクール入学してまずやるべきことは、ここで書いたような失敗談を知ることかなと思います。これは合格体験記とかにも書かれてたりします。
本当は、ここに書いてあるような不合格体験記が1番参考になるかもしれません。

■過去問をまずやらなかった=敵の強さを知らなかった

「過去問はある程度学習が進んでからやろう」
これが大失敗でした。
過去問を解くことは何よりも最優先でしなければなりません。知識がないからやらない、というのは失敗のもと。知識とか関係なく過去問を把握する。これをしなければ敵には絶対に勝てません。
敵を知ってこそ、倒すための計画を立てることができるのです。
だから、「過去問を解く」とは文字通り「解く」わけじゃなく、問題を解いた現状の自分の理解度や、解説等を参照にどのレベルまで勉強することが必要かということを把握することが目的です。これで何が基本事項として理解することが要求されているかが把握できます。
だから、解けなくても全然問題なし。自分の失敗経験からして、ある程度のレベルに達してから初見で試験問題を解くことの方が実力がわかるとか勘違いして、過去問をやることが遅れることが1番ダメです。当初予定のレベルに到達しないまま試験に突入すること必至です。
論文・択一ともに過去問でいち早く把握することこそ、ロースクール生活で充実した勉強生活を送るために必要なことです。

■誤った勉強法

これは以上ですでに見たことですが、自分が「あちゃー」ってなって失敗したことは以下の通りです。

  • 過去問を十分にできなかった
  • 基本事項の暗記が不十分
  • 基本書ばっかり読んで、演習(模試)不足のため問題処理能力の向上を図らなかった
  • 択一の解き方が中途半端な知識に頼りすぎた(きちんとした処理手順でミスを最小限にできた)
  • 問題と正解、結論だけみて、そこで適用された法制度の理解に努めなかった

などなど、いっぱいあります。

■まとめ?

ただただ、自分の失敗を思い出してつらつら思いつくまま書き連ねましたので、まとめられません(爆)。


まぁ、以上の失敗を実戦してる人がいたら、それを改めるだけでもだいぶ違うかなと。


今思うと実戦が1番経験値を得ることができる手っ取り早い勉強法だったのかもしれない。模試や過去問ですな。
以上を踏まえて、自分に合ったしっくりくる勉強方法で1年も頑張れば、今年253点(上位18%)程度の成績なら軽く行くんじゃないかなと思います。

■この一年間のにーやんの生活と択一

ただ、自分は去年受け控えしてからの1年間はほとんど択一の勉強はしてなかったです。模試を受けることと、友達と過去問ゼミをやってたくらいで、それ以外はずっと論文対策してました。
それでも、そこそこの成績だったかなと。択一が超苦手な自分はそう思います。


模試を受けるときとかは、目標を作ってました。前回の反省を踏まえた目標です。
その目標で1番多かったのは、「時間内に解く」ってやつです。
要するに、時間内に自分の最大限の力を発揮する。論文も同じですね。


でも、それがなかなかできずに手こずりました。こんなのは基本書を何回よんでもなかなかのびない能力なんで、実戦の練習が有用です。だから、模試は積極的に利用してました。実力診断模試とか安いやつを。
「時間内に解く」って言えば簡単だけれども、それを実戦するのってすごい難しいです。
でも、時間オーバーでできるはずの問題を捨てることこそもったいない話はないんで、これは絶対克服しないとダメなことでした。
こういうのも、実戦で経験値ためてレベルアップさせるのが手っ取り早かったです。復習で知識を入れることもできるので、模試の経験値ははぐれメタル並に実はかなりでかいと思います。


小生の失敗がロースクール生にとって役に立てば幸いでございます。

■参考

【基本事項】続・択一勉強法。の巻【暗記編】
http://d.hatena.ne.jp/nihyan/20110714/p1