【司法試験】役立つ判例集――行政法編③【参考書】
■行政法の判例集
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- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2006/05/15
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- 作者: 小早川光郎,宇賀克也,交告尚史
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2006/06/15
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試験対策上、「百選レベルはすべてつぶす必要がある」みたいなことを言う人って結構いるじゃないですか?
確かに、百選って重要判例が多く、つぶす必要はあります。
ただ、それも科目によって、つぶす必要性は全然違いますし、掲載されている各判例についても個々に見てみると重要性が低く、しかも難解なものもあって、費用対効果として考えると効率が悪かったりするんですね。
例えば、キルビー特許事件判決(百選Ⅰ64事件)なんかは特許法上では重要な判決ですが、行政法における試験対策としてはその重要性は限定的です。基本的な特許法の理解に加えて、旧法時代の特許法の理解、技術的な仕組みの理解がなければ、本判決の事案自体、正確に理解できません。さらに、特許法上の特許査定に関する判決で、これが一般的な行政処分等にまで妥当するかは議論の余地があります。加えて、本判決の考えが、特許法の改正をもって加えられており、侵害訴訟においては立法的な解決は図られています。
このような判決について、行政法を学ぶ上で、真に理解しようとするがために各法制度の理解に時間を費やすというのは本末転倒なことになりかねません。
そういった意味で、個々の判例についての重要性が全く違うことも加味すべきであって、すべて同じような時間の費やし方では効率が悪いです。
とりわけ、行政法の判例百選は、百選なのに1冊につき120件以上の判例があり、挙句の果てには、行政事件訴訟法の「平成16年改正によって意義を失った」とか解説に書かれた判例も載っていたりします。
にーやんのロースクールの先生も百選は受験対策上、多すぎると言っていました。
しかし、百選が使い物にならないわけじゃありません。
個人的には、以下で紹介するケースブックを判例集代わりにして使う方がいいと思います。
ただ、ケースブックに載っていないもので、かつ、百選に掲載されているものが択一で出題されたりしています。
そこで、択一対策用として、過去問の復習に百選を利用するのがいいと思います。
もちろん、論文対策として利用するというのもありですが、すべて網羅するといった使い方ではなく、過去問や演習の復習に使うべきだと思います。
![ケースブック行政法 第4版 (弘文堂ケースブックシリーズ) ケースブック行政法 第4版 (弘文堂ケースブックシリーズ)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41GFr4edDeL._SL160_.jpg)
- 作者: 高木光,稲葉馨
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2010/03/18
- メディア: 単行本
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百選と異なり、重要な下級審裁判例についても載っていて、しかも判旨の引用も長い点で、論文対策として有用です。
新司法試験は、ロースクールでの教育も踏まえて出題されています。ロースクールが、実務家養成機関であって、新司法試験がその実務家登用試験であることからも、これは当然のことです。
そうすると、特定のロースクールのみでなされた授業の内容は出題されづらいということが予想できます。
仮に、そのような内容が直接出題でも、他のロースクールの授業で扱った内容でも太刀打ちできるようなものになっています。
そうなると、多くのロースクールで使われている教材、とりわけケースブックや演習書の類の知識などはあるものという前提で問題が出題されているといえ、そこでやっているかやっていないかで差が出てきます。
したがって、本書掲載の判例は十分につぶすことが必要だと思います。
とはいえ、判例百選よりも数は少ないです。量より質といった感じです。
また、各章冒頭の判例の概観は数ページだけなのですが、かなり要領よくまとまっていて参考になります。ただ判例が収録されているものとは違い、この判例の概観によって、判例を読む際にどういう内容なのかということを要領よくつかむことが可能です。
ただ、本書も通読するようなものではありません。授業における演習や、演習書の判例の復習、択一の復習において論文対策をも兼ねるといった復習方法などがおすすめです。
また、本書の設問は高度なものもあり、先生がいないとなかなか進むことができないので、独学はおすすめしません。授業で使っている場合、しっかり復習することでかなり力がつきます。
本書に掲載されている判例が論文で問われる可能性は、上述の理由から百選のそれよりも高いと思われます。
択一対策をも含めても、本書および百選以上に判例を押さえることに力を入れるのは効率が悪いでしょう(新判例除く)。
まずは本書掲載の判例の理解に努めるべきでしょう。