取締役会設置会社における株主総会の招集権者は代表取締役なのか平取締役も含まれるのか?の巻

おなかへったー。


勉強頑張ってますか?
にーやんは、まだまだです。


会社法で、ずっと気になってたことがあった。
株主総会の招集権者の話。

会社法296条3項では、

 株主総会は、次条第4項の規定により招集する場合を除き、取締役が招集する。

と規定している。
この条文を素直に読む限り、旧法下と異なり、株主総会の招集権者は、原則、取締役(代表取締役に限らず)に認められるといえそうだ。
しかし、例えば江頭憲治郎『株式会社法(第3版)』299頁は

 招集権者は、第一に、①取締役会設置会社であれば、取締役会であり、その決定を代表取締役が執行する形で招集する。

と書かれてあり、代表取締役以外の取締役は招集権がないような記載になっている。
これだけでは、取締役が株主総会を招集するのは違法となるのかがイマイチはっきりしない。


しかし、『論点解説 新・会社法 千問の道標』468頁では、取締役の資格で招集することもできると書かれてある。


で、今日、日本評論社のインターネットコンメンタールで調べてみた。
どうやら、争いがあるみたいだ。

 伝統的に、取締役会設置会社については、株主総会の招集は代表取締役委員会設置会社では代表執行役)が行うものとされてきた。現行会社法の下でも、学説上はそのような見解が多数である。
 これに対し、会社法の立案担当者は、株主総会は取締役のうちのいずれか1名が招集すればよいとする見解を唱えている。立案担当者の見解は、本条が株主総会の招集権者を「取締役」と定めるのみであることに加え、株主総会の招集は、会社の内部的な意思決定機関である株主総会の招集手続に関する行為であり、会社法上は「業務の執行」ではないと整理されているため、当然には代表取締役・代表執行役の権限(会社349条4項、会社420条3項)に属さないことを理由とするものである。この立案担当者の見解によれば、社外取締役は、「業務の執行」を禁じられているだけなので(会社2条15号、業務の執行を行なうと社外取締役の資格を失う)、その職務の執行として株主総会の招集を行うことができることになる。

まぁ、取締役と代表取締役を明確に区別している(例えば、363条1項1号・2号)会社法上では、条文の文言上、代表取締役に限定解釈するのは難しいだろうな。
現行法はやっぱり平取締役にも招集権が認められると考えるべきなのか。


新司法試験になって、結構、旧法と会社法で違いが出るような論点が出てるので、ここでは平取締役が勝手に株主総会を招集したケースの処理が気になるところだな。
この点について、インターネットコンメンタールは、以下のように書いてある。

 なお、このような見解の対立は、取締役会の招集決議を欠いている場合に、
(1)専断的に総会を招集したのが代表取締役(代表執行役)であるケースと、
(2)それ以外の取締役(執行役)である(招集決議がないから当該取締役は取締役会から招集の執行を委任されてもいない)ケース
とで、法的処理が異なるのか否かという問題に影響を及ぼしうる。
 判例・多数説によれば、招集権限のない者によって招集された株主総会の決議は、法律上の意義における株主総会ということはできず、そこで決議がなされたとしても株主総会の決議があったものとは解しえないとされるからである。仮に上記多数説に立つならば、(2)のケースでは総会決議が不存在であるとされ、提訴期間の制限などが課されない一方、(1)のケースでは総会決議に取消事由があるとされるにとどまるであろう。
 これに対し、上記立案担当者の見解であれば、(1)(2)のケースの処理に差はなく、いずれも総会決議に取消事由があるにすぎず、提訴期間の制限などが課されることになりそうである。

なんか論文でも問われそうやなぁ。