予備試験で友情・努力・勝利をつかみ取る物語を実戦しようと思う。の巻

予備試験の最終合格者が発表された。

司法試験予備試験通過116人 合格率は1・8%

 法務省は10日、今年から始まった司法試験予備試験に116人が合格したと発表した。受験者は6477人で合格率は1・8%だった。合格者は来年5月の新司法試験を受験できる。

 5月に実施された予備試験は、経済的な理由で法科大学院に通えない人に新試験の受験機会を確保するため導入された。修了すれば新試験を5年間で3回まで受験できる法科大学院修了者も336人が受験したが、合格者は5・7%の19人にとどまった。

 予備試験をめぐっては、受験資格に制限がないため「新試験への抜け道になりかねない」との批判もあるが、法務省人事課は「まだ1年目で評価できない」としている。

 法務省によると合格者の内訳は男性103人、女性13人。平均年齢は31・6歳で、最年長が59歳、最年少が20歳だった。職種別では大学生40人、無職32人、公務員13人。現役の法科大学院生も192人が受験し、8人が合格した。

 試験は3段階に分かれており、各試験の合格率は短答式20・7%、論文式9・5%、口述95・1%だった。
http://blog.livedoor.jp/vip_2ch_news/archives/51220645.html

論文の合格率が思った以上に低かったけれど、
口述試験受験者122人中合格者は116人。
口述で落ちたの6人だけで95%合格している。


合格率は1.8%。超厳しいんですけど……
ただ、これをどうみるかは検討の余地がある。

試験は3段階。

  1. 短答試験
  2. 論文試験
  3. 口述試験

上述の通り、口述試験はほぼ全員合格している(車の運転試験みたいな感じ?)。
実質的には、①短答と②論文で合否が決まっている。


予備試験は(新)司法試験と異なり、受験資格っていうのはない。高校生でも受験できる(実際、択一通過している高校生がいた)。
要するに、予備試験は、ロースクールで2〜3年、司法試験の勉強をしてきた選りすぐりの人間だけが競争する試験ではなく、全然勉強してない人でも気軽に受験できる試験ということだ。
実際に、8971人が出願して受験した人が6477人で、欠席した人が2494人もいた(約3割の人が欠席)ことからも、そもそも本気で試験勉強をしていない人も少なくなかったものと考えられる。


そういうこともあって、決して難しい問題ではなかった短答試験においても合格率は20.7%ということで、かなり低かった。
しかし、択一が得意な人は法律科目だけで合格点を十分に狙えるレベルのものだったと思うので、記念受験等を除いた実質的な合格率を考えると、もう少し高いものだと考えられる。


こういうことを考えると、数字のマジックというか、合格率が1.8%という狭き門になったのも、受験者の8割が第1通過地点で落とされるということによる部分が大きいなと思う。


しかし、本当の難しさは論文だ。
司法試験(本試験)と予備試験の受験者層が異なる点を考えると、一概に比較できないけれども、本試験の場合、短答通過者のうち3割以上が論文合格者になる。
これに対して、予備試験の場合、短答通過者のうち論文合格者は1割未満(9%程度)にとどまる。
つまり、予備試験では、論文試験で上位10%以内に入ることが必要になる。
しかも、論文試験には、
法律実務基礎科目(民事実務、刑事実務、法曹倫理)
があって、しかも法律科目だけじゃなく、
一般教養科目(人文科学、社会科学、自然科学)
もある。


したがって、法律科目で上位10%以内に入っても、この一般教養科目でしょぼい点数を取ってしまうと、その時点でゲームオーバーに……
個人的には、ここが1番きつい。
本試験でも同じことがいえるけれど、合格の基本はまんべんなく点数を取ること。これは、超上位は狙って取れるようなものじゃないからだ。
法律科目の場合、相当大変で範囲も広汎であるものの、「対策」を講じることはできる。
法律の枠内という絶対的な限定があるから。


しかし、一般教養科目はものすごい柔軟性があって、その限定も「人文科学、社会科学、自然科学」といったもので、おいおい、限定されてねーよとつっこまざるを得ない。
昔から、「論文は水物」なんて言われて、その年によって出来不出来が大きく異なったりする。
とりわけ、一般教養科目に限っては「絶対に高得点!」って常にいえる状態になんていつになっても無理だと思う。
非常に対策に困る科目だなと。


しかも、予備試験の難しいところは、問題自体は難しくないってところだと個人的には考えている。
昔、司法試験の考査委員をやっていた人が言っていたことだけれども、難しい問題は難しい、しかし、易しい問題は全員がそれなりのころが書ける分、相対評価である以上、「それなり」では良い点がつかない。そういう意味では、易しい問題で高得点を取るのも、結局、難しいということになる。これは、問題の難しさではなく、相対評価ゆえの難しさだ。
つまり、易しい問題で100点中80点分くらい書ける人がほとんどの場合、80点では高得点にならないということである。100点近くとらなければ高得点にはならない。そういう場合が易しい問題では生じる。


予備試験の問題は、本試験より簡単だ。これは当たり前で、本試験より難しい問題では主従逆転だから。本試験を受ける資格があるかを問う試験が予備試験。
だから、予備試験の問題はそれほど難しい問題じゃない。
ゆえに、上述のような難しさが生じる。
しかも、合格率が低くなればなるほど、さらに難しくなる。それは問題が難しいのではなくて、受験者の中で秀でることの難しさだ。
これが絶対評価相対評価の違うところ。


なんか、そういうことを考えると、これは法律の試験なのか、試験対策のテクニックを競う試験なのか、試験制度の意義を見失いそうになる。


もちろん、この合格率が今年の受験者のレベルが低いっていうのなら納得できるけれど、そうは思えない。まぁ、自分が知ってる中で、受かっている人が優秀なだけかもしれないけれど。


色々考えると、途方もなくしんどくなる。
だから、考えるのは止めて、自分のできる限りの努力をする。
試験対策は考えなければならないけれど、さすがに受験者のレベルまで正確に把握するなんてできないので、考えても仕方のないことは考えない。
一般教養科目については最低限の枠、例えば、小論文を書くときの約束みたいなのだけ押さえて、それ以上はしない。
(本試験をも見据えて)効率から言っても、法律科目に力を入れるべきなのは当然だと思うわけで。


論文一般にいえることだけれど、結局、問題は知識と答案作成力(解答力)やねんなー。
一般教養科目も知識があれば有利なのは間違いないけれども、そんなクイズ王の対策みたいなことをしている時間も余裕もない。
ただでさえ、法曹倫理とか実務科目とか増えて大変なのに。
でも、コアカリキュラムもあるから、どこが問われやすいかは把握しやすい分、やれば点数が向上するのが法律科目、だと信じる(希望的観測)。


そして、この努力が報われる人生を送りたい。
友情、努力、勝利。
これから孤独の勉強生活だが、そこはエア友達のエア男くんとともに友情も深めつつ、努力と勝利をつかみ取ろう。


あとはあれだな。
愛だな。うん、愛だ。