レンタルしたブルーレイをコピーして視聴できるようにしても適法である。の巻【2011年11月6日時点の話】

まいど〜。

あたい、にーやん。


先日、大学院時代の後輩と飲みに行ってきた。
楽しかったよ。


価格.comを見てたら、おもしろいやりとりがあった。
複製の違法性について。

言うさん 
違法に成るのでしょうが、レンタル3Dブルーレイを書き込むことはできるのでしょうか。

2011/11/06 13:29 [13729504]

という質問があった。


この問題は昔書いたような気がするけど、
まず、「レンタル3Dブルーレイ」は、動画をブルーレイという物に固定したものだ。
これをダビングすると「複製」に当たり、著作権(複製権)侵害になるのが原則。
「原則」ということで、「例外」としてこの「複製」をしても良い場合もある。
例外は1つではなく多々あるが、代表例が私的複製(私的使用目的の複製)。
私的複製に当れば、ダビングOK。
例えば、CDをレンタルしてダビング(コピー)したことがあるという人はたくさんいるだろう。

私的複製は、著作権法30条1項柱書で、以下のように定められている。

 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。) は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。) を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

「次に掲げる場合」とは、同法30条1項1〜3号に該当する場合。
つまり、同法30条1項1〜3号に該当する場合以外、私的使用目的の複製は許されるということである。
「私的使用」とは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」である。要するに、自分だけが複製物(例えば、ダビングしたCD)を使用する目的ならば、「複製」してもよいということである。
したがって、レンタルショップでCDを借りて自分用にコピーしても著作権侵害にはならないのである。


ところが、上述の通り、「次に掲げる場合を除き」としており、さらに例外がある。それが、同法30条1項1〜3号に該当する場合。
その中には、

 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。) を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第120条の2第1号及び第2号において同じ。) により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合(同項2号)

というものがある。
ややこしいが、要するに、私的使用目的の複製なら許されるのだけれど、その場合でも、複製をするのに技術的保護手段の回避を要する場合は、複製を許さない、というものである。したがって、この「技術的保護手段の回避」をして複製をする場合は、著作権侵害になるということである。以上が例外の例外で原則に戻ってやっぱりダメ=著作権侵害ということである。
現在のDVD同様にブルーレイディスクにもコピーできないようにされている。
しかし、このことから直ちに「技術的保護手段」が用いられているといえるかは正確に理解しなければならない。
一見、
コピーできないようにしている=「技術的保護手段」が用いられている
と誤解しがちである。
例えば、上記のレスに対して、

炉りた@accさん .

出来ません。

販売されているものやレンタルされているものは
コピーガードが施されています。


あとコピー行為は違法なので絶対にしてはいけません。

2011/11/06 13:31 [13729516]

というレスがある。
コピーガード=「技術的保護手段」が用いられている
という考えである。
しかし、少なくとも著作権法上、「技術的保護手段」が用いられている場合とは、いわゆるコピーコントロールを意味し、アクセスコントロールは含まれない。
要するに、アクセスコントロールによって制限がかかっている場合に、これを回避しても著作権侵害にはならないのである。


なんやねん、コピーコントロールとかアクセスコントロールって?
という話になる。
コピーコントロールとは、文字通りコピー自体をできるかどうかを制御するものだ。コピーコントロールによってコピーそのものを禁止した場合、コピー自体できなくなる。
これに対して、アクセスコントロールは、コピーは禁止するのではなく、コピーしてできたもの(複製物)を視聴ができないようにするものである。
したがって、アクセスコントロールはコピーをコントロールしているものではなく、コピーでできあがったものを視聴できないように制限するものである。
そして、例えば、DVDビデオに採用されているCSSはアクセスコントロール技術であり、著作権法で保護されている”技術的保護手段”には該当しない、というのが文化審議会の見解である。
したがて、類似ないし同様の技術を使ったもの、つまりアクセスコントロールによる以上、「技術的保護手段の回避」にならないので、私的複製の範囲内であれば著作権侵害にはならないのである。
要するに、現行のDVDのレンタルをして、アクセスコントロール技術を回避しても著作権侵害にはならない。

ブルーレイの場合も、そこで使われている技術がHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)というもので、デジタル方式の画像や映像コンテンツの出力信号を暗号化することによって不正コピーを防止する機能を持つ。
確かに、不正コピーを目的にして用いられている技術ではあるが、しかし、これもコピー自体をできなくするものではない。
したがって、著作権法上の定義に照らすと、HDCPはアクセスコントロールと考えるべきであろう。
文科省においても、

CSS、CAS、HDCP等のアクセスコントロール機能のみの技術についてそれを回避する装置・プログラムに関しては、現行の著作権法における規制の対象とはならない。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/05072901/002-4.htm

としており、HDCPをアクセスコントロールと分類している。
したがって、HDCPを回避してブルーレイをコピーしたものを視聴できるようにしても、著作権法上、問題はない。
したがって、HDCPの技術を使ったブルーレイをレンタルして、コピーして、視聴できるようにしても、著作権法上、適法である。
正確ではないが、以下の通り、適法とレスするのが正解。

AS−Pさん .

コピーは違法じゃないよ。
コピーするためにはコピーガードを外す必要があって
そのコピーガードを外す行為が違法なのです。

ですからコピーガードごと丸々クローンが出来るなら問題なしです。

私的複製を法律は認めていますからね。

コピーが違法ならもしもの時のバックアップも違法だからね。
もしもの時のシステムの複製を作る行為をバックアップ
コピーを日本語で複製という。

2011/11/06 14:53 [13729868]

より正確には、コピーガード(技術的保護手段)でない以上、レンタルしたブルーレイをコピーしてアクセスコントロールを回避して視聴しても著作権侵害にならない。
しかし、このような正解があるにもかかわらず、以下のようなレスが続く。

かずさきさん .

>私的複製を法律は認めていますからね。
>コピーが違法ならもしもの時のバックアップも違法だからね。
所有権のあるレンタル店がやるならまだしも
他人のものを勝手にやるのは私的複製にはなりません。
私的複製が認められてる土台を解かりやすく言えば、
「購入した本人」が複製して「自分で使う」分には
著作権者に損害を与えないであろう……
というところからきているのです。
(もちろん家族くらいには認められてますが)

自分の物を自分が〜と他人のものを第三者が〜を一緒にしたら駄目ですよ。

2011/11/13 15:39 [13761164]

これは全然違う。
まず、私的複製かどうかはその著作物を固定した目的物が他人の所有に属するかどうかは関係ない。
私的使用の範囲内かどうかは、著作物の使用方法(私的な範囲といえるか)で変わるのであって、その目的物の所有権の帰属には関係ないのである。
これは、複製権を制限した著作権法30条の趣旨が、閉鎖的な私的領域内の零細な複製を許容するものであることからも明かである。
まぁ、これはよくある素人的勘違い。

また、以下の間違いも上述の通り、

prego1969manさん .

>AS−Pさん
正気か?

言い分けないだろ。それは、隣の家の兄ちゃんが購入したブルーレイをコピーガードごとコピーしてもOKってことじゃない。理解してるのかい?
レンタルビデオはあくまでもレンタルだしさ〜嘘を教えてはいけません。

コピーが出来るのか?については出来る。
コピーをして良いのか?については良くない。

これだけのこと。

DVDやBDなどは私的複製でも違法だったはずですが。

2011/11/13 17:23 [13761567]

これも完全に誤解。
「prego1969manさん、正気か?」
と言わざるを得ない内容ということになります。
少なくとも、DVDのCSSはアクセスコントロールという点で争いはなく、私的複製は適法である。
「隣の家の兄ちゃんが購入したブルーレイをコピーガードごとコピーしてもOKってことじゃない。理解してるのかい?」
これも意味不明。
HDCP回避技術を使うことで複製したものを視聴することはできるし、適法である。
これが正解。


ただ、これを回避する技術については、不正競争防止法との関係で問題がなくはない。
が、とりあえず、著作権法上の問題はない。