第3章 第3節 伊藤眞の訴訟能力!の巻

弟に彼女ができて、先を越された感満開の昨今。
俺は俺の道を行くだけである( p_q)


今日は、民訴やったど。まだまだ、はじめの方やけれども。


訴訟能力について。伊藤眞先生の本を使ってるんで、そのまとめ!!


訴訟能力は、その者の名において訴訟行為をなし、または訴訟行為の相手方たり得る能力である。したがって、当事者はもちろん、補助参加人についても訴訟能力が要求される。
訴訟行為の結果によって当事者は、重大な利益・不利益を受けるので、法は、訴訟能力を一定の者に限って認めている。このように訴訟能力を一定の者に限って認めた趣旨は、行為能力と同様、能力を欠く者の保護にある。したがって、当事者または補助参加人*1としての地位をもたない者については、保護の必要性がないので訴訟能力は要求されない(民102条参照)。
訴訟能力の有無は、具体的事案や訴訟行為との関係なしに、一般的に定められる。ただし、訴訟能力が存在しても、具体的行為をなすことについて意思能力が欠けていれば訴訟行為としては無効となる。


第1項  訴訟能力者


第28条(原則)
当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治29年法律第89号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。
第37条(法人の代表者等への準用)
この法律中法定代理及び法定代理人に関する規定は、法人の代表者及び法人でない社団又は財団でその名において訴え、又は訴えられることができるものの代表者又は管理人について準用する。

訴訟能力の有無は、民法の後能力を基準として決定されるのが原則である(28条)。法人または29条に該当する団体は、当事者能力を認めたれるが、法人や団体自身には訴訟能力は認められない。それゆえ、法人などの代表者を法定代理人に準じて取り扱うこととしている(37条)。


第2項  訴訟無能力者


第31条(未成年者及び成年被後見人の訴訟能力) 
未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。ただし、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合は、この限りでない。
 規則第15条(法定代理権等の証明・法第三十四条)
 法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権は、書面で証明しなければならない。選定当事者の選定及び変更についても、同様とする。
第32条(被保佐人、被補助人及び法定代理人の訴訟行為の特則)
1 被保佐人、被補助人(訴訟行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。次項及び第40条第4項において同じ。)又は後見人その他の法定代理人が相手方の提起した訴え又は上訴について訴訟行為をするには、保佐人若しくは保佐監督人、補助人若しくは補助監督人又は後見監督人の同意その他の授権を要しない。
2 被保佐人、被補助人又は後見人その他の法定代理人が次に掲げる訴訟行為をするには、特別の授権がなければならない。
一 訴えの取下げ、和解、請求の放棄若しくは認諾又は第四十八条(第五十条第三項及び第五十一条において準用する場合を含む。)の規定による脱退
二 控訴、上告又は第三百十八条第一項の申立ての取下げ
三 第三百六十条(第三百六十七条第二項及び第三百七十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定による異議の取下げ又はその取下げについての同意

未成年および成年被後見人は、訴訟無能力者であって、法定代理人によってのみ訴訟行為をすることが許される 。訴訟行為について個別的に同意に基づく訴訟能力を認めることは、手続を不安定にするため、訴訟無能力者による訴訟行為は認められない。ただし、営業などの許可を与えられた未成年者は、営業などに関して包括的に行為能力を取得し、当該法律関係に関する訴訟能力が認められる場合がある(31条但書、民6条・会社584条参照)。
無能力者の法定代理人たる後見人が訴訟行為をなすときに、後見監督人が選任された場合には、その同意が要求される(民864条 )。同意は、少なくとも審級ごとに包括的に与えられなければならない 。同意を得ないで行われた訴訟行為は、訴訟手続の安定という理由から、当然に無効であると解されている。
ただし、32条1項は、これについて特則を設け、相手方の提起した訴えまたは上訴に対して法定代理人が訴訟行為をすることについては、同意を要しないとした。相手方の訴権や上訴権を保護する趣旨である。
逆に、32条2項は、法定代理人が訴えの取り下げ、和解、請求の放棄・認諾、訴訟脱退、および上訴や異議の取り下げなどをなす場合には、後見監督人による特別の授権を得ることを要求している。上訴権の放棄(284条・313条)もこれに準じる。これらの訴訟行為は、判決によらないで訴訟を終了させる点で、当事者の利益に重大な影響を生じるので、民法に基づく包括同意を加重したものである。


第3項  制限訴訟能力者


被補佐人等(被保佐人および被補助人)が訴訟行為をなす場合には、法律上または家庭裁判所の審判によって保佐人等(保佐人または補助人)の同意もしくはこれに変わる家庭裁判所の許可が要求される(民13条1項柱書本文・同項4号・3項・17条1項・3項)。被補佐人等には、完全な訴訟能力が認められないので、制限訴訟能力者と呼ばれる。
訴訟手続の安定のため、保佐人等の同意あるいは家庭裁判所の許可は、包括的に与えられなければならない。特に審級を限定しなければ、同意の効力は上訴審にも及ぶ。また、いったん訴訟行為がなされた以上、同意等の撤回は認められない。
当事者が訴訟継続中に保佐開始の審判(民11条)または補助人の同意を要する旨の審判(民17条1項)を受けた場合でも、訴訟手続は中断せず、当該審級に限っては、被保佐人等は保佐人等の同意なしに訴訟行為をすることができる。ただし、上訴については、保佐人等の同意を要する。また、32条2項に定める行為については、保佐人等の同意が必要になる。
これに対して、被保佐人等が相手方の提起した訴えまたは上訴に対する訴訟行為を行う場合には、保佐人等の同意を要しない(32条1項)。その趣旨は、相手方の訴権や上訴権を保護する点にある。


第4項  人事訴訟についての特則


第5項  訴訟能力または訴訟行為をするのに必要な授権の欠缺


第34条(訴訟能力等を欠く場合の措置等)
1 訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは、裁判所は、期間を定めて、その補正を命じなければならない。この場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、一時訴訟行為をさせることができる。
2 訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
3 前2項の規定は、選定当事者が訴訟行為をする場合について準用する。

訴訟能力は、訴訟行為を有効に行い、または有効な訴訟行為の相手方たり得る要件である。もっとも、無能力者がなした訴訟行為についても追認の可能性があり、また、将来の訴訟行為は法定代理人が行う可能性も残されている。そこで、34条は、裁判所が当事者に対して訴訟能力欠缺の補正を命じなければならない旨を規定する。ただし、補正を待つことによって遅滞のため無能力者に損害を生じるおそれがあるときには、無能力者に訴訟行為を行わせることができる(34条1項)。もっとも、後に追認されない場合は、その訴訟行為は無効になる。保佐人等の同意が欠けているときにも、同様である。
追認がなされない限り、無能力者等の訴訟行為は無効である。そのため、無効な訴訟行為を前提として訴訟手続を進めたり、また無効な訴訟行為の結果を判決の基礎とすることはできない。訴訟行為については、訴訟手続の安定を図るために、当然に無効とされる。なお、訴訟能力や必要な授権に欠ける訴えに対して不適法却下の判決がなされるのは、その内容としては、本案についての判断を求める申し立てが無効であることを意味している。これに対して、訴訟継続中に後見開始の審判などによって訴訟能力が失われたときには、訴訟手続が中断する(124条1項3号)。これも、訴訟無能力者の訴訟行為を排除する趣旨の規定である。
訴訟能力の欠缺等を看過した判決は、訴訟法上違法な判決である。しかし、無効な判決ではない。判決自体は、裁判所の訴訟行為である。それゆえ、当事者の訴訟行為が訴訟能力欠缺のために無効であっても、直ちに判決が無効になるわけではない。もっとも、訴訟能力は、個々の訴訟行為の有効要件であると同時に本案判決のための訴訟要件でもある。それゆえ、このような訴訟法上違法な判決に対しては、当事者は、上訴による取り消しを求めることができるし(312条2項4号)、また、再審による取消しも可能である(338条1項3号)。
1  訴訟能力等の欠缺と上訴
訴訟能力等の欠缺を看過したことを理由として上訴が提起された場合、以下のように取り扱われる。
① 原審が訴訟能力等の欠缺を看過している場合
原判決を取消し、原審に差し戻して、34条1項に基づく補正を命じさせる。
② 訴訟能力等の欠缺が認められない
上訴を棄却。
③ 原審が欠缺を理由として訴えを却下し、上訴審も欠缺を認める場合
原審補正有→上訴を棄却。
原審補正無→原判決を取消し、原審に差し戻して、34条1項に基づく補正を命じさせる。
2  追認
法定代理人または能力を取得もしくは回復した当事者が追認すれば、行為の時に遡って有効なものとなる(34条2項)。必要な授権を得た当事者による追認も同様である。追認は、上訴審または再審手続においても可能である。ただし、訴訟手続の安定性の要請から、追認は、少なくとも1つの審級における訴訟行為全体についてなされなければならない 。なお、追認の方式は、口頭でも、黙示でもよい。


今日はこんなもん!

*1:当事者の一方を補助するために訴訟に参加した当事者以外の第三者(42条)。