共同訴訟参加と類似必要的共同訴訟と債権者代位訴訟の意味不明な関係になげやりな気持ちになった。の巻

まいど〜。


合格発表前で狂いそうなにーやんです。


なんか合格発表直前やからか、すげー気が焦る。
で、内田民法Ⅲとか読んでた。何してんだろ。ヤバい。
それにしても、債権総論は内田役に立つな。最近あんまし人気ねーけど……


今のうちになんか色々やろうと思い、でもなんもできてない感じ。
TKCから別冊法セミの新試解説が届いたので、今年の試験問題のチェックとかしちゃったりなんかして。もうバカん。


はぁあ。
民訴設問2の共同訴訟参加ミスったな〜。
通説は類似必要的共同訴訟の関係になるんか〜。
でも、色々調べたらなんかわけわからんようになってきたわ。


今からわけわからんレベル低いこと書くと思うんで、予めサーセン


共同訴訟参加(民訴52条)には、

1項 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2項 第43条並びに第47条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

と規定されている。
「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」とは、必要的共同訴訟について40条1項が規定する、合一にのみ確定すべき場合と同じ意味であり、訴訟の目的である権利または法律関係についての判決の内容が、各人に区々別々になってはならない関係にある場合をいう。
ここでの訴訟追行権自体は被参加人たる当事者と参加人たる第三者がそれぞれ独立に行使しうることが前提であり、かつ、合一確定が求められるものであるから、参加後の共同訴訟の形態としては、類似必要的共同訴訟に属する。
したがって、参加人たる第三者は、判決効の拡張を受け、かつ、独立の当事者適絡をもつ者でなければならないとするのが判例・通説である(最判昭和36年11月24日民集15巻10号2583頁。伊藤630頁)。


と、まぁここまでは誰もが知ってることなんやろうな〜。
で、問題はきちんと数人の債権者による債権者代位訴訟が類似必要的共同訴訟になるってことを押さえていたかってことと、それがどういう論理で成り立つのかってことを民訴的に説明できるか。


だけれど、ここはきちんと基本書にはあまり説明されていない。
例えば、藤田・講義(初版)451頁には、

 訴訟共同は強制されないものの共同訴訟関係が成立すると合一確定に向けて必要的共同訴訟としての規律に服するとされるものとしては,……数人の債権者の債権者代位訴訟(民法423条),……があるとされています

と書かれているものの、判決効が代位債権者以外にどのような理由で及び合一確定が要求されるのかということについては書かれていない。


秋山ほか・民訴コンメンタールⅠ507頁には、

 債権者が債権者代位権(民423条)に基づき、債務者の債権について給付の訴えを起こしているときには、その債務者の他の債権者は、債務者がその判決の効力を受ける結果として(115条1項2号)、反射的にその判決の効力を承認せざるをえない関係に立つから、判決が合一に確定すべき関係になり、他の債権者は、本条によってその訴訟に参加することができる。

と記述されている。
ん?「反射的に」?


あれ?反射効肯定説ってこと?


反射効を否定する伊藤596頁にも、

 数人の債権者による債権者代位訴訟(民423)……については,法定訴訟担当者たる適格者相互間に直接に判決の効力が拡張されるわけではないが,本人たる被担当者に拡張され(115Ⅰ②),その反射的効果として,他の適格者に拡張されるので,同様に類似必要的共同訴訟の成立を認めてよい。

と記述されている。


あれ?伊藤先生は反射効否定説じゃ?


伊藤先生は、この「反射的効果」については、注41で、

 ここでいう反射的効果は,一般にいわれる反射効と区別されるものである。

とされている。
しかし、どういう法的根拠に基づく「反射的効果」かは明らかにされていない。


いったいどんな法的根拠によって認められるんだ?


会社法と異なり債権者代位権を定める民法には、その判決効の拡張についての定めはない。
とすると、判決効の拡張を前提とする類似必要的共同訴訟の成立を認めるには、解釈によって判決効の拡張を考えざるを得ない。
そこで、まず考えられるのがいわゆる「反射効」。
つまり、被担当者たる債務者に拡張される判決効が民訴115条1項2号により拡張され、その判決効が訴訟追行していない他の債権者にも及ぶ。その法的理由としての「反射効」だ。
ところが、伊藤596頁にはそうじゃないという。


しかし、高橋下261頁では、

 反射効が生ずる場合として類似必要的共同訴訟となると説かれるのは、数人の債権者が提起する債権者代位訴訟……である。……債権者代位訴訟でいえば、債権者X1とX2が共同原告となる場合、訴訟物は債務者の第三債務者に対する権利であって同一であるから、同じ時期に同じ内容の判決が出るように企図する40条の規律を適用してよいからである。これが、通説によれば、債権者X1の得る判決は債務者に判決効(既判力)を及ぼし、債務者が得た判決はその債権者に反射効を及ぼすから(新堂696頁)、数人の債権者が提起する債権者代位訴訟は債権者相互に反射効を及ぼし合い、判決効拡張の場合に準ずるため類似必要的共同訴訟となると論ぜられる。この場合は、債務者敗訴の効果が債権者に及ぶことが問題となるから、判決効の不利な拡張となる。そうだとすると、X1は共同原告X2の敗訴判決が先に確定することを阻止できることが望ましく、手続進行の統一が要請される。こういう論理構造となる……。
 これはこれでよいとして、しかし、反射効の典型例とされる主債務者と保証人を共同被告とする訴訟が類似必要的共同訴訟となることはない(新堂741頁)。主債務者が請求を認諾し、保証人が請求を争い勝訴しても、法律上、別に不都合は生ぜず合一確定の必要がないからである。かくして、反射効が生ずる場合すべてにおいて類似必要的共同訴訟となるのではないという意味で、反射効が生ずる場合に類似必要的共同訴訟となるとの叙述は不正確である。

このように記述されている。
要するに、反射効が生ずる場合すべてが類似必要的共同訴訟とはならないものの、債権者が提起する債権者代位訴訟での判決効が他の債権者に及ぶ理由は反射効で説明してよいという。


両者は、

  • 訴訟提起した代位債権者による債権者代位訴訟の債務者に拡張する判決の効力が他の債権者にも及ぶ

という点で共通するものの、他の債権者にその判決効が及ぶ理由が異なる。高橋先生は反射効だといい、伊藤先生はそれとは異なる効力と。


受験学説的には判例実務同様に反射効を否定するのが一般的だと思うのだけれど、そういった前提に立つと高橋先生を初めとする通説的見解を維持し得ない。
そうなると、伊藤先生のような説明になるが、イマイチ法的根拠が明らかではない。


となると、反射効・反射的効果を否定して、通常共同訴訟だとする三ヶ月説を採用せざるを得ない。
これだと、類似必要的共同訴訟の関係を否定するため、共同訴訟参加の要件が欠ける。
よって、他の債権者は共同訴訟参加できないことになる。


実は、この三ヶ月説で答案を書いてしまってんなぁ、俺。
いや、全然こんな学説知らんかったけど、反射効否定説を前提にする頭しかなかったから、まさか他の債権者に対して判決効が拡張されるって発想にならんかってんな〜。
そもそも反射効を論じる必要性があることすら気づかなかったのがヤバい。
「おいおい、相対効やろ原則は。紛争解決?反射効?そんな明文のない法理ムリ〜」
とか、そんな勢いやったから俺。今は後悔している。
そういう出発点に立つと、他の債権者に対する判決効の拡張なんて論理は生まれないんよね。はい、不勉強です。ごめんなさい。
まぁ、そうなると当然に類似必要的共同訴訟なんて成立する余地なんてなく、他の債権者は共同訴訟参加ムリ〜。


あぁあ。


まぁ、三ヶ月説なんて知らんかったけど、そんな学説があるだけでもよかったわ。


ところで、類似必要的共同訴訟に当たる類型には

  1. 判決効が直接拡張される場合のほか
  2. 判決効が第三者を通じて間接的に及ぶ場合

というものがあると河野正憲722頁には書いてある。
そして、この債権者代位訴訟は判決効が第三者を通じて間接的に及ぶ場合だという。
このような類似必要的共同訴訟が成立する理由について、同頁には以下のように記述されている。

 第三者の訴訟担当の場合にその〈本人〉が一定内容の判決効を受けると,この者の法的地位に依存した関係にある者は間接的にその判決の効果を受けざるを得ない。これらの者は〈本人〉の法的地位を訴訟手続上で代位して行使していると見られるからである。そこでこの関係にあるこれらの者が互いに共同訴訟人の地位に立つ場合は判決効は合一に確定すべき必要があり,その訴訟形態は類似必要的共同訴訟となる。

図式的には、

X1(代位債権者)⇒Y(第三債務者)
        ↓
       判決効
        ↓115条1項2号
        A(債務者)
        ↓
        X2(他の債権者)

のような感じ。
ただ、これでもなぜAの判決効が訴訟外のX2にも及ぶのか明らかとはいえない。
債権者代位訴訟の判決効が対世効と定める条文はない。にもかかわらず、なぜ判決効が他の債権者にも債務者を解して及ぶのかは自明とはいえない。
通説のように法的根拠が反射効なら一応理解できる。


河野先生のこの記述では、判決効を受けざるを得ない理由を依存関係に求めているように思える。反射効肯定説は一定の依存関係が実体法上認められることを理由に反射効を認めるが、反射効による判決効の拡張を前提にしているのかは明らかではない。


なんか、色々調べてみたものの、イマイチしっくりこない。
反射効否定説の先生も含めて、どの本も債権者代位訴訟が類似必要的共同訴訟の例に挙げている。ただ、その論理構造はイマイチ明確でない。
そして、結局、高橋先生の重点講義が最も無難で論文で使えそうな情報があったということも、なんかもどかしい。
何より、反射効肯定説を前提にしているってのがなんか納得いかないモヤモヤが残る。
試験勉強的な意味では、黙って重点講義読めってことか?で、学説マンセーな民訴にどっぷり浸かれってことか?


まぁ……嫌いやないんやけどね。そういう学問的なのも。


ただ、個人的な好みを度外視すると、なんか民訴の問題って「実務的な問題を装って民訴学説・理論を聞く」って感じがして、実務家登用試験ってこんなんでいいんかなとか少し思う。
それが民訴の問題といえばそうなんだろうが、民訴ほど百選なんかより特定の先生(もちろんピロシである)の本を読めって試験科目はないやろうなぁ。


とにかく、なんか凹むわ。
こんなレベルで合格とかムリな材料が増える一方やん、俺。
あーやだやだ。