民訴論文出題の趣旨見てもやっぱりわからんかった。の巻

司法試験の勉強している皆様、
頑張って生きてますか?


小生はそこそこ元気でございます。
あぁ、お腹すいた……


ところで、辰已のストリーミング見ました?
今年の司法試験で総合1位という猛者の。
さらに民事系1位ですって、奥さん。

こんなえげつない猛者はどんなえげつない答案を書いているんだろうと気になるところですが、そんな偉い人でも出題の趣旨にバッチリ答えられたわけじゃないんだというのが、このストリーミングを見るとわかります。


とはいえ、隙のない答案を書いているというのはこれを見てるだけでも伝わってきました。
こういう人の話を聞くと、本当に基礎を押さえるというのがすごく重要だとすごく実感する。
同時に、自分自身もよく思うけれど、きっとその基礎を勉強してる「つもり」になってて、わかってる「つもり」になって、実際には理解できてない部分が多いんだろうなと思った。
「つもり」って本当に恐い。
択一でも、問題をきちんと読んだ「つもり」になって、○の組み合わせが問われているのに×の組み合わせを探しちゃってたり、なんてケアレスミスをたまにやっちゃう。



そういえば、以前、共同訴訟参加の要件と債権者代位訴訟の関係についてわけわからんぞ!って記事を書いた。
共同訴訟参加と類似必要的共同訴訟と債権者代位訴訟の意味不明な関係になげやりな気持ちになった。の巻
どうでもいいけど、銀魂のタイトルみたいに長いタイトルやな。


この記事の俺の疑問に出題の趣旨は答えてくれているのか?
民訴論文の出題の趣旨には以下のように書かれている。

 共同訴訟参加の許否であるが,共同訴訟参加は,「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」に許容される。この要件は,参加人が原告側に参加する場合には,原告と参加人が共同原告であったと仮定したときに,その訴訟が原告側の必要的共同訴訟であることを意味する。
 したがって,本問の事例では,BとFが共同原告としてCに対する訴えを提起した場合に,原告側の必要的共同訴訟になるかどうかが検討されなければならない。それぞれ別個独立の被保全債権を有するBとFは,債権者代位権を共同で行使しなければならない関係にはないから,固有必要的共同訴訟は成立しない。そこで,類似必要的共同訴訟が成立するかどうかの検討が必要となる。
 原告側の類似必要的共同訴訟は,共同原告の一方が訴えを単独提起した場合に,その訴えが原告適格に欠けることがないと同時に,その訴えに係る訴訟の確定判決の効力が他方に及ぶという関係が成り立つ場合に成立する。

ここまではまぁ普通の解説。
問題はどういう理屈で数人の債権者による債権者代位訴訟が類似必要的共同訴訟になるってことになるのか。
出題の趣旨は以下のように続く。

 そこで,B又はFが単独で訴えを提起した場合に,その訴えに係る訴訟の確定判決の既判力又はその反射的効力がF又はBに及ぶかどうかを検討することになる。
 複数の法定の訴訟担当者が原告となった訴訟が類似必要的共同訴訟であるとする最高裁判例として,住民訴訟に関する最判昭和58年4月1日民集37巻3号201頁,最(大)判平成9年4月2日民集51巻4号1673頁と,株主代表訴訟に関する最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁があるが,平成9年判決は他の担当権限を有する者(原告適格者)に対する既判力の直接拡張を,他の2判決は被担当者に既判力が及ぶこと(民事訴訟法第115条第1項第2号)から被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶことを前提としている。

やっぱり、「反射効」ではなく「反射的効力」という文言が使われている。これは伊藤民訴で使われていた「反射的効果」と同じ意味だと思われる。
そうすると、ここで使用された「反射的効力」はいわゆる反射効ではない。
もちろん、反射効を指している可能性もあるが、ここでは判例を引用して、その判例の立場について、「被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶことを前提としている」と書かれている。
いわゆる反射効を否定する判例の立場を前提にすると、ここでの「反射的に及ぶ」という意味はやはり学説で唱えられている反射効とは異なるものと解さなければ矛盾する。
そして、この出題の趣旨ような説明は、河野正憲722頁でなされている。
いずれにしても、「被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶ」という考え方について触れている基本書は少なかったので、イマイチ理屈がわからない。
そう突き詰めると、ここは難問だ。
ただ、河野先生の基本書を読んだりしていない限り、「被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶ」という発想自体が出てこないような気がする。
まぁ、これは俺の不勉強のせいなのかもしれない。


相変わらず、民訴は奥が深いな〜。
結局、結論だけでどういう理屈で「経由」なんてことになるのかイマイチわからんままだ。
そもそも、判決効を拡張する規定もないから、担当者と被担当者だけに判決効が及ぶもんだとばっかり思ってしまう。
「被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶ」って言われても、なぜ経由できるのかがよくわからない。
相対効を原則とする他の事案と決定的な違いもわからんし、このような説明を可能にする民訴の理論って反射効以外にないような気がするんやけど……


あぁ。なんか嫌やなー。わからんわからん言うの。
アホやから仕方ないけど。


出題の趣旨は通常共同訴訟と理解した場合にも言及されていた。

 他方,本問の事例で,BとFが訴えを共同提起した場合において,これが仮に通常共同訴訟であるとすると,BとFの受ける本案判決の内容に相違が生ずる可能性があり,かかる相違が生じたときには,被担当者に既判力が及ぶことから,被担当者であるAにおいて既判力の矛盾が生ずることになる。このような,被担当者における既判力の矛盾を回避する必要性から,類似必要的共同訴訟性を根拠付ける考え方もあり得るところである。

確かに、矛盾が生じるおそれがあるのはわかるんやけど、「矛盾抵触回避の必要性」って理由だけで判決効(または既判力)は拡張できるもんなんか?
まぁ、「既判力に準ずる効力」なんてのを認めることができるわけだし、そういうのも解釈なのかなー?
ただ、既判力に準ずる効力は判決主文でその判断が示されてるってところを、判例は強調するからなー。


いずれにしても、それなりに説得力を持って書けよってことなのかもしれないけれど、どのレベルまで求めてるのかわからんなぁ、合格答案見ないと。
ただ、通常共同訴訟のままでは既判力が矛盾抵触するおそれがあるってところは書く必要があるみたいやなぁ。この悩みを見せてなかったのは失敗やな。


って、またアレコレ悩みを吐き出してしまった。
結局、うまいこと説明できないでフィニッシュですわ。


合格答案みて、もっと合格レベルを研究しよう。

民訴論文出題の趣旨の「反射的効力」の意味がわかった!の巻