民訴論文出題の趣旨の「反射的効力」の意味がわかった!の巻

ベムさん、この日記見てますか?
にーやんはまだギリギリ人間で頑張ってます。


どういう理屈で数人の債権者による債権者代位訴訟が類似必要的共同訴訟になるってことになるのか。
偉い人がコメントをくださったおかげで、わかってきた。


というか、訴訟担当者の既判力の拡張の理解が不十分でした。


まず、共同訴訟参加(民訴52条)には、

1項 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2項 第43条並びに第47条第2項及び第3項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

と規定されている。
「訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合」とは、必要的共同訴訟について40条1項が規定する、合一にのみ確定すべき場合と同じ意味であり、訴訟の目的である権利または法律関係についての判決の内容が、各人に区々別々になってはならない関係にある場合をいう。
ここでの訴訟追行権自体は被参加人たる当事者と参加人たる第三者がそれぞれ独立に行使しうることが前提であり、かつ、合一確定が求められるものであるから、参加後の共同訴訟の形態としては、類似必要的共同訴訟に属する。
したがって、参加人たる第三者は、判決効の拡張を受け、かつ、独立の当事者適絡をもつ者でなければならないとするのが判例・通説である(最判昭和36年11月24日民集15巻10号2583頁。伊藤630頁)。


そして、伊藤596頁は、

 数人の債権者による債権者代位訴訟(民423)……については,法定訴訟担当者たる適格者相互間に直接に判決の効力が拡張されるわけではないが,本人たる被担当者に拡張され(115Ⅰ②),その反射的効果として,他の適格者に拡張されるので,同様に類似必要的共同訴訟の成立を認めてよい。

と記述されている。
伊藤先生は、この「反射的効果」について、

 ここでいう反射的効果は,一般にいわれる反射効と区別されるものである。

とされている。
しかし、どういう法的根拠に基づく「反射的効果」かは明らかにされていない。


いったいどんな法的根拠によって認められるんだ?


これに対する答えが、伊藤529頁で書かれていた。

 反射効と異なった意味で反射的効力や反射的効果という概念が用いられることがある。たとえば,代位債権者など法定訴訟担当者が当事者となって受けた敗訴判決の既判力が115条1項2号によって本人に対して拡張され,その結果として他の代位債権者などもその結果を承認せざるをえなくなる。これは,訴訟担当者が訴訟物たる権利関係についての当事者適格を本人に代わって行使するものである以上,本人が当該権利関係についてもはやなしえない主張は,担当者もなしえないという,訴訟担当にもとづく訴訟法上の効果であり,ここで述べる反射効とはその性質を異にする。


つまり、「反射的効果」は「訴訟担当にもとづく訴訟法上の効果」として説明できるってことだ。


なるほど。これで出題の趣旨に書かれていた意味もわかった!

 B又はFが単独で訴えを提起した場合に,その訴えに係る訴訟の確定判決の既判力又はその反射的効力がF又はBに及ぶかどうかを検討することになる。
 複数の法定の訴訟担当者が原告となった訴訟が類似必要的共同訴訟であるとする最高裁判例として,住民訴訟に関する最判昭和58年4月1日民集37巻3号201頁,最(大)判平成9年4月2日民集51巻4号1673頁と,株主代表訴訟に関する最判平成12年7月7日民集54巻6号1767頁があるが,平成9年判決は他の担当権限を有する者(原告適格者)に対する既判力の直接拡張を,他の2判決は被担当者に既判力が及ぶこと(民事訴訟法第115条第1項第2号)から被担当者を経由して既判力が他の原告適格者に反射的に及ぶことを前提としている。

この「反射的効力」というのも、上記の「訴訟担当にもとづく訴訟法上の効果」として理解すれば、反射効を否定する判例の理解とも矛盾せず、整合的に理解できる。


おお。なんか、すげーすっきり!


要するに、訴訟担当における既判力の拡張の意味を正確に理解していなかったんだな俺。


しかし、伊藤先生の本では、訴訟担当の箇所では、この「反射的効力」について触れてないんだよなー。
こういう重要な関連事項には触れて欲しいと思う俺は、ゆとり世代じゃないがゆとりなんだな。